ベルト状の加圧器具で腕や脚の付け根を押さえながら運動を行う「加圧トレーニング」のシンポジウムが東京大で開かれ、健康や医学面からの効果が報告された。
同トレーニングは、適正に行えば軽い運動で筋肉増強の効果が出ると注目される。同大の石井直方教授は「最大筋力の二割、つまり日常生活程度の運動で筋肉を太く強くする効果が出る」と研究の成果を説明した。
効果を生む詳しい仕組みは未解明。血流が抑えられて筋肉が酸欠になるなど、激しい運動と同様の状態になるためとみられる。高齢者の筋肉強化や宇宙での萎縮防止にも応用が期待される。安全なトレーニングのため指導には資格が必要だ。
同トレーニング開発者の佐藤義昭氏は「米国や中国でも研究が始まった」と、国際的に効果や安全性の研究が盛んになりつつあると強調する。
加圧トレーニングを高度先進医療として推進するスリランカからニマル保健・厚生相が招かれ「治療より予防が重要。加圧トレーニングの開発は非常に意味がある」と述べた。
確かに、過度な運動を行わなくても、日常の活動程度の負荷で筋力が増強するのであれば、スポーツマンに、というより、高齢者やあまり動けないような人たちに有用ですね。筋力の低下というのは思っている以上に活動を制限してしまいますし、活動が制限されると認知力などにも影響してきますので。
とはいえまだまだ発展途上な医学でもありますし、行うにはそれなりの知識と技術が必要です。全国的に、介護の分野などで応用されるとすごく面白いですけどね。
関連
医学処:血流制限による簡易筋力増加法、「加圧トレーニング」について
医学処:運動後に冷水浴をしても筋肉疲労回復には効果がない。
医学処:スポーツ医科学賞に東大名誉教授の宮下充正氏