2009年09月08日

短眠の理由を遺伝子変異によって説明する。

睡眠時間が少なくても大丈夫な人もいる

 6時間の睡眠でも十分という人がまれにいるが、その理由を遺伝子変異によって説明できることが新しい研究で示された。研究著者の1人、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)神経学教授のYing‐Hui Fu氏は、この研究によって、最終的には睡眠時間が少なくてもいいようにヒトの身体を操作する安全な方法を開発できる可能性があると述べている。

 Fu氏は「6時間以下の睡眠でも悪影響なく過ごせる人が約5%いるが、ほとんどの人にとっては8〜8.5時間の睡眠が最善である。われわれは人生の3分の1を眠った状態で過ごし、それが生きるために必要であることはわかっているが、必要な睡眠量を何が制御しているのかは明らかにされていない」という。

 今回の研究では、睡眠を約6時間しか取らない母と娘のDNAを調べ、他の家族のものと比較した。その結果、この母と娘には共通する遺伝子変異がみられたが、この2人以外の家族のメンバーには変異はみられないことが判明。さらに、同じ変異をもつマウスは睡眠時間が少なく、睡眠不足からの回復も早いことがわかった。この変異が睡眠パターンに影響を及ぼす機序を明らかにすることによって、睡眠時間を減らすことのできる薬剤を作ることが夢だと、Fu氏は述べている。この知見は、米科学誌「Science」8月14日号に掲載された。

 別の専門家は「平均より睡眠時間が30〜60分短い人が最も長命であると示す複数の研究がある」と述べている。しかし、遺伝子の影響は一部に過ぎず、残り習慣や社会的立場、仕事、娯楽(運動、インターネット、遅くまでのテレビ視聴など)および環境によって左右されていると指摘し、遺伝子変異が睡眠に影響を及ぼしているとしても、それがその変異をもつ人にとって有益なものであるかどうかはわからないとしている。



 短眠は忙しい現代人全員の願いかもしれません。しかし無理をして睡眠時間を削ると良くない影響が多いのは自明。無理にやらず、体をうまく慣れさせることができれば、睡眠時間は減るかもしれませんが。神経学的な影響について切り込んだこの研究が実を結べば、無理をせずにうまく短眠な体質にすることができるのかも?

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posted by さじ at 14:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 生理
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