歯医者で昔からよく言われるセリフに、「痛かったら手を挙げてください」というものがある。実際に手を挙げる人は少ない気がするけど、手を挙げたらどうなるの?
日本歯科医師会に聞いてみると、「特に規則などはありません。歯科医が自分の判断で、自然に言うようになったものですね」と広報担当者。
本来、「治療中は口をあけているため、合図を送る方法が手しかない」という理由から「手を挙げる」という手段が取り入れられたよう。だったら、表情でもわかるのでは?
「お子さんなどの場合、言葉にできず、いきなり治療中に首を振るとか、器具をとろうとすることもあるので、大変危険です。そのため、合図を送ってもらうように『手を挙げて』と言うんですよ」
ただし、大のオトナは痛くても、実際にはなかなか手を挙げにくいもの。手を挙げたら、その後はいったいどうしてくれるのか。
「患者さんが手を挙げたら、いったん中断することが多いですね。『手を挙げて』と患者さんに言うのは、『痛かったらやめてくれる』という安心感を与えるためでもあるんです。また、痛いときは、麻酔があまり効いていないということになるため、麻酔をもう少し増やすなど、方法を考える必要もあるんです。これは患者さんにとって、とても大事なサインなんですよ」
昔に比べ、今は非常に細く丈夫な使い捨ての麻酔針ができたため、痛みが軽減している。また、接着剤の進歩によって、大きく削らずにすむようになり、「歯医者=痛いところ」のイメージは変わってきている。
私もそうですが、日本人は我慢してしまいがちですからね。ある程度痛くても手はあげられませんよね。昔歯を削られているときに、ものすごい激痛といいますか、脳が痺れるくらいの痛覚の衝撃があったんですけれど、手はあげられず、耐えに耐えた経験があります。
今だったら、手をあげて、麻酔してもらうと思いますけれどね。まあある程度の我慢は時として必要かもしれませんけれど、我慢しすぎて「あの治療は痛い」と思い込んで病院への足が遠のくぐらいだったら、遠慮せずに申し出ることも必要です。