1981年以来、日本人の死因のトップとなっている「がん」。生涯のうちにがんになる確率は、男性の2人に1人、女性の3人に1人と言われます。しかし、最近は、医学の進歩で「治るがん」も増えています。特に女性特有の「乳がん」や「子宮頸(けい)がん」は、早期発見・早期治療で治る確率が高いがんです。早期に発見するためには、がん検診を受けることが有効ですが、検診受診率は20%程度と低いのが現状です。そこで、平成21年度の補正予算によって、一定の年齢に達した女性に乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポン券が配布されることになりました。
日本人にとって、がんはだれでもなりうる身近な病気です。「自分は健康に気を付けているから大丈夫」「近親者でがんになった人がいないから、遺伝的にも大丈夫」と思っている人も少なくありませんが、そうした人もがんになる可能性はゼロではありません。
遺伝するがんはまれなもので、むしろ、食生活や喫煙、飲酒、運動、睡眠といった生活習慣や生活環境ががんの発症に大きくかかわっているのです。ですから、健康な生活習慣を心がければ、がんになるリスクは大幅に減らすことができますが、リスクをゼロにすることはできません。
また、がんは、初期では何の自覚症状もないことが多いため、気付かないうちに病気が進行してしまう危険もあります。
がんを治療中の患者数は、現在、142万人(平成17年患者調査)。多いのは、「胃がん」、「肺がん」、「大腸がん」ですが、これらのがんになる人は、65歳以上の高年齢層に多い傾向があります。一方、女性特有のがんである「乳がん」「子宮頸がん」については、乳がんは、女性ホルモンの影響を受けやすい40歳代の女性で最も多く、ウイルス(ヒトパピローマウイルス)感染が主な原因となる子宮頸がんは、近年20〜30歳代で急増しています。
乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポン券と検診手帳が配布されます
乳がん・子宮頸がんは、どちらも早期発見・早期治療が有効ながんです。早く見つかれば、それだけ完治の可能性も高くなり、治療にかかるお金や時間の負担も軽くなります。自分の健康状態を確認し、がんを早期に発見する意味でも、乳がん・子宮頸がん検診を定期的に受けることが重要です。
平成21年度の補正予算によって、全国の市区町村では、一定年齢に達した女性を対象に、乳がん検診・子宮頸がん検診が無料で受けられるクーポン券を配布することになりました。また、クーポン券とともに、乳がん・子宮頸がん検診について分かりやすく説明した「検診手帳」が送られます。検診手帳には、乳がん・子宮頸がん検診を受けた時期などを自分で記録することもできます。
今回、乳がん・子宮頸がん検診無料クーポンが送付されるのは、下記の年齢の女性です。
検診無料クーポン券が届いたら、ぜひ、時間を調整して、乳がん・子宮頸がん検診を受けましょう。無料クーポン券を使用できる医療機関は市区町村によって異なります。詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
また、今回の受診をきっかけに、これからも自分の健康を保っていくために、定期的に乳がん・子宮頸がん検診を受けることが重要です。健康に問題がないと思っても、2年に1度は検診を受けましょう。
乳がん検診無料クーポンの配布対象者
年齢 生年月日
40歳 昭和43(1968)年4月2日〜昭和44(1969)年4月1日
45歳 昭和38(1963)年4月2日〜昭和39(1964)年4月1日
50歳 昭和33(1958)年4月2日〜昭和34(1959)年4月1日
55歳 昭和28(1953)年4月2日〜昭和29(1954)年4月1日
60歳 昭和23(1948)年4月2日〜昭和24(1949)年4月1日
子宮頸がん検診無料クーポンの配布対象者
年齢 生年月日
20歳 昭和63(1988)年4月2日〜平成元(1989)年4月1日
25歳 昭和58(1983)年4月2日〜昭和59(1984)年4月1日
30歳 昭和53(1978)年4月2日〜昭和54(1979)年4月1日
35歳 昭和48(1973)年4月2日〜昭和49(1974)年4月1日
40歳 昭和43(1968)年4月2日〜昭和44(1969)年4月1日