脳梗塞で体の機能の一部が失われても、左右反対側の脳が神経回路をつなぎ替えて「肩代わり」し、機能を補うことを、自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の鍋倉淳一教授らがマウス実験で突き止めた。効果的なリハビリテーションに役立つと期待される。
米神経科学会誌に発表した。鍋倉教授らは、右脳の大脳皮質に人工的に脳梗塞を起こし、左足の感覚がほとんどなくなったマウスを使って実験。左脳の大脳皮質を特殊な顕微鏡などで観察したところ、実験後1〜2週間に新しい神経回路が生まれたり、消えたりして回路のつなぎ替えが頻繁に起きていた。4週目になると、左足の裏を軽く刺激するだけでマウスが反応するようになったという。
鍋倉教授は「脳梗塞の回復は、神経回路の再編成と機能回復の2段階で進むと考えられる。それぞれの時期に最適なリハビリを行えば、効果が上がると期待できる」と話している。
機能が失われても最初の半年、1年のリハビリが大事と言われています。脳の補完機能が活発な時期に、神経回路をうまく確立することで、機能を取り戻すことができるようになるのでしょう。