統合失調症患者に複数の抗精神病薬を投与する多剤併用が、今も67%の入院患者に行われていることが、精神科臨床薬学研究会の処方調査で分かった。
統合失調症は、脳内の神経伝達物質ドーパミンの働きなどが過剰になって起こると考えられ、治療では、この働きを抑える抗精神病薬が用いられる。
抗精神病薬は、効果を見極めるため1種類だけ使うのが国際的な原則。薬の切り替え時に一時的に2剤になることはあるが、国内では、複数の抗精神病薬を使って投与量を増やし、患者を過度に鎮静させて意欲を著しく低下させる使い方を続ける病院もある。
調査は、同会の薬剤師が働く病院などを対象に、昨年10月に行われ、96施設が回答。統合失調症の入院患者約1万5000人のうち、1種類の抗精神病薬で治療を受ける患者は33%にとどまり、06年の調査時の29%とほとんど変わらなかった。
同研究会代表幹事で東邦大薬学部教授の吉尾隆さんは「多剤で薬の量が増えると、効果よりも鎮静ばかりが強まる。単剤処方を早急に広めるべきだ」と話す。
うーん、よろしくない傾向。
精神疾患って、薬の効果次第なところはありますが、その薬が効いているかどうかを見定めるためにも多剤併用は避けるべきでしょう。日本全体のガイドライン化が必要ですねぇ。おとなしくさせれば治療完了、という安易な考えは、もはや治療ですらありません。
一応精神科医してますんで上の記事にコメントしておきますと私は常日頃から「単剤はそんなに素晴らしいのか?」と思っています。建前としては確かに単剤化に向かっていますし、私も(特に外来レベルでは)単剤化にこころがけて処方してますが、単剤で不十分なときは躊躇なく薬を追加します(理由は長くなるので割愛)。
この記事も入院患者を対象にしてますよね。そもそも外来でコントロールできない患者さんが入院するわけで、その場合多剤になるのはあまり不思議なことのようには思えませんが…。
例えば、外来でリスペリドンのみで維持されてきた患者さんが何かの拍子に妄想出現、不穏を呈するようになった、などというケースのとき、リスペリドンを増量するより、入院させて鎮静作用の強いフェノチアジン系を追加する方がうまくいく場合がままあります。
確かに単剤ばかりが良いというわけではないでしょうし、その人の症状によっては多剤になるのは案外普通かもしれません。入院→外来に向けたコースならば単剤化も必要かもしれませんけれども。
今まで、通院で私立1院、入院で公立1院・私立1院のお世話になりましたが、薬の作用・副作用の説明を一度も受けたことはありません。厚労省の『使用上の注意』には「あらかじめ副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、……」とあるにもかかわらずです。処方の変更があっても、要求しなければ口頭での説明も、そのことを記した文書も渡されません。病院は、スタッフの負担軽減の観点から、とにかく沈静化を第一目標にし多剤を投与ているように思われてなりません。
今までに、通院で私立1院、入院で公立1院・私立1院のお世話になりましたが、一度も薬の説明を受けたことはありません。厚労省の『使用上の注意』には、「本剤の投与に際し、あらかじめ上記の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し…」とあるにも関わらずです。そして、大量多剤の投与を受け続けています。
この現実を厚労省は知っているのでしょうか。
病院は、スタッフの負担軽減の観点から、鎮静化を第一の目標にして多剤を投与しているのではないかと感じています。
基本的に単剤投与にして、それで節約できた薬剤経費を病院スタッフの充実にまわせば、この地獄のような現実から抜け出せると思います。厚労省は、このような制度設計を、是非実現してほしいものです。
それは、製薬会社が困るからできないのでしょうか。
とにかく、患者第一の治療になっているとは言えない現実に早くメスを入れなくてはならないと思います。
◆セロクエル
◆デパケン
◆リスパダール
◆ワイパックス
◆ルーラン
を使用していますが、多剤処方があまり良くないということで、ルーランをなくした途端に再発しました。あわててルーランを再処方したのですが、多剤処方って本当によくないのでしょうか?
私の場合は多剤処方でないとよい結果が出ません。