重症の赤ちゃんを24時間態勢で受け入れる新生児集中治療室(NICU)の8割強で、労働基準法上は割増賃金が必要な医師の「時間外労働」が、一般的に手当の安い「宿日直」と見なされていることが新生児科医らでつくる「新生児医療連絡会」のアンケート調査で分かった。
労基法では、平日の夜間や休日の業務は、軽度なものであれば宿日直として認められるが、昼間と同じような治療を行っていれば時間外労働となる。調査は、今年3月に愛育病院(東京都)で、4月に県立奈良病院(奈良市)で、産婦人科医や新生児科医の宿日直が時間外労働にあたると労基署や地裁から指摘されたのを受けて実施された。
総合・地域周産期母子医療センターなど190施設に質問紙を送り、50%にあたる95施設が回答。夜間や休日の勤務の扱いについて、50施設が「すべて宿日直」、28施設が「宿日直と時間外勤務の併用」とした。だが、宿日直中の勤務実態は、時間外労働と変わらなかった。
一方、労基法上、最も好ましい2交代か3交代制が実施できているのは6施設にとどまり、64施設は人材難を理由に「交代勤務制は不可能」と答えた。
調査をまとめた杏林大准教授の杉浦正俊さんは「国の医療費カットでどの病院も経営が苦しく、現場も改善を強く求めづらい。だが、このままでは、ただでさえ人材難が深刻な新生児医療に若い医師を積極的に勧誘できない」と話していた。
医者が一番能力を発揮できるような環境を、国を挙げてつくることこそが、医療事故防止につながると思います。
過酷な労働条件で献身的に医療を行い続け、疲労により事故が起きてしまう。それを未然に防ぐことこそが国として急務であるにもかかわらず、現状は「医療費削減」のみに尽力を注ぐ。おかしな話ではありませんか。
総選挙で盛り上がってきておりますが、このあたりの現状を把握して、公共事業費削減、そして医療費の大幅アップに取り組む政党が現れないものですかねぇ。何年後かに破綻するのが目に見えている今の医療を見捨て続けるのでしょうか。