競馬のレース記録は19世紀後半から20世紀初めにかけて大幅に短縮されたが、これは馬の走行能力が向上したわけではなく、騎手の乗馬姿勢の変化による効果が大きかったことが、全地球測位システム(GPS)を使った最新の研究で裏付けられた。英ロンドン大チームが17日付の米科学誌サイエンスに発表した。
騎手は昔、馬の背に腰を据え、上体を起こして乗っていたが、米国で腰を浮かせて上半身を前傾させる姿勢が生み出され、1897年から英国にも導入され始めた。米国の1890年からの10年間と、英国の1897年から1910年までで、レース記録は5〜7%も短縮された。
研究チームは、GPSと慣性センサーを使い、レース中の馬と騎手の重心移動を計測。その結果、馬の重心移動は上下約15センチ、前後約10センチだったのに対し、騎手は上下約6センチ、前後約2センチにとどまることが判明。騎手が馬の負担を減らし、走行を安定させていることが分かった。
騎手が前傾姿勢を取ると、前面の空気抵抗が減るのではと思われるが、腰を高く浮かせているため、この効果はあまりないという。
空気抵抗の関係ではなく、重心を変える事で馬の負担を減らしていた、と。
スポーツ医学のジャンルも近年かなり進歩していますからねぇ。まだまだ記録が伸びる余地は残されています。
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