損傷したラットの脊髄神経細胞に青い光を当てると、細胞の成長を促すタンパク質が増えて損傷部分が回復することを、名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授と原田直明准教授(ともに血液学)が発見した。
「運動まひや認知症などの治療への応用が期待できる」(岡嶋教授)という。9月に名古屋市で開かれる日本神経科学大会で発表する。
ラット10匹の脊髄を傷付け、うち5匹に波長470ナノメートル(ナノは10億分の1)の青い光を毎日20分間、3週間にわたり当て続けたところ、歩行可能なレベルまで回復。光を当てなかった残る5匹はまひしたままだった。
何もしないラットに比べ、光を当てたラットの神経細胞はサイズが大きくなっており、細胞を分析すると、成長を促すタンパク質「インスリン様成長因子1(IGF1)」が約1・7倍増えていることが判明。
岡嶋教授らは、青い光の刺激でIGF1が増えたため細胞死が抑制された一方、幹細胞の分化や若い細胞の成長が促されたと結論付けた。
岡嶋教授は、体の一部としてもともとある細胞の成長を促す今回の方法は「移植より安全な治療法につながる可能性がある」としている。
青色LED。
光刺激だけで神経が成長するというのは何とも不思議な感じ。これは実際直接あてないと効果ないんでしょうかね。そこらへんの難しさはあるか。
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毎日新聞 3月20日(火)2時2分配信
名古屋市立大は19日、老化防止研究などの論文に改ざんや捏造(ねつぞう)があったとして大学院医学研究科の原田直明准教授(44)を懲戒解雇、監督責任者として岡嶋研二教授(58)を停職6カ月の処分にした。名市大の調査専門委員会によると原田准教授は熊本大研究生時代(05年)の1本を含む計8本の論文で過去の実験画像を新しいものとして使ったり、画像に手に加えたという。原田准教授は「論文作成中に、仮に作成したものを誤って使ってしまった」と説明しているが、調査委は信用できないと判断した。
監督の教授停職 岡嶋教授が責任著者を務めた論文19本で画像に手が加えられたり、他の実験画像の流用が判明した。調査委議長の今川正良副学長は「岡嶋教授の不正関与を裏付ける証拠はなかったが、本人が不正に気づいていなかったとは考えられない」と述べた。
処分された2人は育毛や老化防止、認知症予防に役立つ物質を研究。学外から指摘があり、昨年3月から調査委が調べていた。戸苅創(とがり・はじめ)学長は「研究機関としてあるまじきことで大変遺憾。早急に再発防止に努めたい」とのコメントを発表した。【河出伸】