2009年06月27日

献体を用いた医療技術トレーニングの市民フォーラムを名古屋市で7/11に開催

「先端医療技術を安心して受けるために 〜献体を用いた医療技術トレーニングの必要性と今後の課題〜」

1.主催・後援
主催:NPO法人MERI Japan
後援:愛知県、名古屋市、愛知県医師会、(社)名古屋青年会議所、樺日新聞社、中部日本放送梶A(医)蜂友会

2.開催日時
平成21年7月11日(土曜日)13:00〜15:40(開場 12:30)

3.開催場所
名称:中電ホール
所在地:名古屋市東区東新町1番地
電話番号:052-951-6908

4.事業目的

 社会環境が大きく変化している中にあって医療に求められていることは安全・安心、高品質、高効率である。先端医療技術に対する期待は高まるばかりである。しかし、先端医療というとそのメリットに目が行きがちであるが、解決しなければならない問題も少なくない。忘れてはならないことは、先端技術とはしっかりとした基礎技術の上に成り立つということである

 解決しなければならない問題の一つには医療技術研修・研究開発システムの不備が挙げられる。手術技術の研修を例にとると、日本ではベテランの医師が後進を育てるために実際の手術において患者の身体を使ってOJT(実地研修)を行ってきた。本来であれば、いきなり患者の身体を使ってOJTを行うのではなく、模型やシミュレーター、豚などの実験用動物やご遺体などを用いた手術技術研修を経て、基礎となる知識と技術を習得した後にOJTを重ねていくことが理想である。技術を習得するということで言えば自動車運転教習課程と同じだと考えられる。

 しかし、日本ではご遺体を用いての手術技術研修や研究が表立って行われていない。行われているとしても各大学の独自の判断の下で行われているのが現状である。ご遺体を正常解剖と病理解剖以外の目的、つまり医療技術の向上等の目的で用いることについての是非が曖昧であること、献体のあり方についての議論や理解が浅いために国民的コンセンサスがないことが主な原因である。

 医療技術は日進月歩のスピードで研究開発されている。そして、我々の日常の医療に導入されて、医療の効率化に貢献している。しかし、技術の進歩に伴い、そのテクニックは複雑化している。従来のOJTでは対応しきれない医療技術も開発されている。模型・シミュレーター、実験用動物・ご遺体を用いての効果的な医療技術研修システムが必要となる所以である。基礎技術がしっかりと身についているといえども先端医療技術に対応するためには医療技術研修を受けて自分の技術を研鑽することが必須となりつつあるということである。既に欧米諸国はもとより近隣のアジア諸国においてもご遺体を用いての医療技術研修が行える枠組みと施設が整備されて自国の医療に貢献しているのが現状である。

 また、医療技術研修に模型やシミュレーターのみならずご遺体や実験用動物を用いることが有用であることは外科系での手術に限ったことではない。内科系の医師が行うことがある基礎技術である気管挿管やカテーテルの挿入などの技術研修にご遺体や実験用動物を用いることは医療事故を減らすためにも必要不可欠である。

 基礎医療技術と先端医療技術を習得できるような枠組みが出来上がれば、医師は自信を持って医療を行うことが出来るようになり、地域医療の高質化と高効率化にも貢献できるものと考えられる。

 これからの医療を考えるうえで、総合的な医療技術修練・研究システムの必要性とその実現には欠くことのできない法整備や献体のあり方等について議論する必要がある。

目的:

 献体を含んだ人体試料を巡る問題や法整備の課題を明確にし、ご遺体を医療技術修練や研究開発に用いることを含めた献体のあり方とその是非等について議論することにより、その必要性に対する市民の理解とコンセンサスを得て、医学界・医療界への働きかけの一つとなること。



 脳死臓器移植の是非が盛んに取り上げられています。海外で行われている技術を日本でも、というのが明瞭な目的です。

 ご献体を用いた技術獲得という、海外では当たり前に行われているトレーニングを、日本でも。というのがMERI JAPANの活動内容です。

 こちらも「法整備されていない。法律化する以前に議論が活発に行われていない」ことが問題点です。

 間違いなく必要な技術トレーニングではありますが、実際に日本で、献体を用いてトレーニングすることに対して市民はどう感じているのか、私自身もかなり気になるところではあります。

 今回、MERI Japanが中心となって、市民フォーラムを開催するようです。パネリストも相当充実していて、一般の方が聴いても非常に面白い内容であると思われます。勿論、実際に関与してくる医療従事者の方にとってはより一層大切な市民フォーラムであると思います。

 前回は既に開催された後だったり、前日の告知になってしまったりで、微妙な取り上げ方しか出来ませんでしたが、今回は7月11日ということで、予定も合わせやすいかと思います。

 MERI Japanの今回の市民フォーラムのチラシをpdfでいただいたので、是非ご覧になってみてください。こういう催しに耳を傾けるだけで、今まで漠然としていた部分が明瞭になって現れると思いますよ。

参考:先端医療技術を安心して受けるために 市民フォーラムのチラシpdf

関連
医学処:NPO法人MERI Japanが、献体を用いての技術訓練を日本に普及させる
医学処:献体フォーラム、札幌市道新ホールで明日開催。
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posted by さじ at 02:46 | Comment(3) | TrackBack(0) | NEWS
この記事へのコメント
私はいくつかの病から幾つかの手術を経験し、医学の恩恵を十二分に感じています。それもあって献体に興味を持ち調べ始めた頃、たしか「整形外科医向上の為に献体を使う・・・」を見つけこれが私の探していたものかもしれないと思いました。最近また気になってこの記事を見つけこのように形作られた事にうれしくなりました。
でもこの先法整備されるまでどれだけ道のりがあるのでしょうか?
私の命ある間に申し込む事が出来るのかどうか?
出来たらいいなと祈っています。
Posted by オリーブ at 2009年06月28日 12:21
こういう市民フォーラムって行ったことないんですけど、結構かしこまった感じなんでしょうか?
Posted by 東 at 2009年06月29日 19:32
>>オリーブさん
コメントありがとうございます。
今、MERI Japanを中心に法整備のための議論の最中です。このままの勢いで推進すれば近いうちに、と思います。オリーブさんのような方のためにも、早い段階での法律化をお願いしたいですね。

>>東さん
市民フォーラムですので、一般の方にも分かりやすい内容だと思います。パネリストの方もより一般人に近い方が選ばれていますし。
Posted by さじ at 2009年07月01日 01:37
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