2009年06月26日

モンスターペイシェント対策に、警察OBを病院に配属する。

モンスター患者の暴走ストップ にらみ利かす警察官OB

 宮城県大河原、村田、柴田の3町と角田市による保健医療組合が運営するみやぎ県南中核病院(大河原町、300床)が、モンスターペイシェントなどに対応するため、4月に警察官OBの男性2人を「安全対策員」として採用した。着任から3カ月。職員から「安心感が違い、精神的に楽になった」(看護師)との声が聞かれるなど、病院の安心安全を担う頼もしい存在になっているようだ。

 安全対策員は、問題行動を起こした患者への対応、院内の巡回といった警備的な役割のほか、未収金の回収も支援する。救急医療に取り組んでいるため、平日の昼だけでなく、夜間や休日も呼び出しに応じて駆け付ける「オンコール態勢」で緊急事態に備える。

 2人は今年3月、宮城県警を定年退職した。県警では暴力団対策や防犯分野などの経験があるという。

 全国の病院では近年、モンスターペイシェントによるトラブルが増えている。

 夜間の救急外来なのに「専門医を連れてこい」と言って、治療が終わると「間違っていたら責任を取れよ」と捨てぜりふを吐く。昼の外来診察などで、病院側が理解を求めても、「こんなに待たせてお茶も出ないのか」「院長を出せ」と迫り、「税金泥棒」と叫ぶ―。

 みやぎ県南中核病院でも、実際にこんな例があり、暴力に発展して警察を呼ぶ事態も起きているという。

 特に自治体病院は、経営の一部に税金が充てられていることや、救急医療を手掛けていることなどから、クレームを受けやすい側面も。安全対策員の1人は「医療の現場は想像以上にひどい。まさに病院は社会の縮図」と感想を語る。

 同病院では、医師や看護師らがトラブル対応に割かれる時間が増え、ストレスが大きく、意欲の低下も招いていることなどから、「もはや病院だけでは職員の安全を守れない」と判断。昨年、県警に相談して、安全対策員採用に踏み切った。

 内藤広郎院長は「職員がそれぞれの仕事に安心して専念できる環境が整いつつある。医療機能が向上することで、患者にとってもよりよい医療の提供につながる」と話している。

 宮城県内の自治体病院では、大崎市民病院が2005年度、警察官OBを採用している。大館市の市立総合病院では今年5月、「院内暴力」に備え、警察官を講師に招いた護身術などの講習会を開いた。



 素晴らしい提案。今の段階で最も良い案でしょうね。

 まあこんな案を導入しなければならないほど、日本の一般人の民度が低下しているという事実は嘆かわしいことではありますが。

 でもこういったモンスターペイシェントが増えた背景って、やはりマスコミが「医者は不当に儲けている」ということを昔報道しまくったせいだと思うんですよね。「患者さまの方がエライ」と患者自身が思ってしまっている点が問題だと思います。医療従事者は患者さんのために全力で診療にあたっていますし、治療のためにも信頼関係を築こうと努力しています。

 よくもわるくもいわゆるサービス業のような弊害を受けるようになってきたんでしょうね。「お客様は神様です」という言葉はありますが、あれは店側が、お客さんに尽くすためのサービス精神の塊のような言葉であって、客自身が「俺は客なんだから神様だろ」というのは違いますからね。

 医療の現場は昔から信頼で成り立っています。医者に心を開くのは大歓迎ですし、病気で心が弱ったときにわがままを言うのも良いことだと思いますけれど、なんかこう、傲慢になるのは違うなぁ。

 こういう安全対策員制度、全国でやってくれないものですかね。費用が病院もちなのは仕方ないか。

[モンスターペイシェント]
 医療従事者に理不尽な要求をしたり、暴言を吐いたり、暴力を振るったりする患者やその家族を指す。全日本病院協会が2007年12月〜08年1月、加盟医療機関に実施したアンケートでは、過去1年間に院内暴力などがあったとの回答が52.1%(576カ所)に上った。発生件数は計6882件で、主な内訳は暴言などの精神的暴力が49.9%、身体的暴力が33.6%、セクハラ13.6%。発生件数のうち警察への届け出は5.8%、弁護士への相談は2.1%にとどまる。

関連
医学処:モラルの低下した患者による暴力行為が多発。
医学処:全国の病院で6882件もの「患者の暴力、暴言」があった。
医学処:何故、モンスターペイシェントは増加しているのか。
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posted by さじ at 15:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急
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