米国に渡航して臓器移植を希望する患者が、医療費やデポジット(前払い金)の急騰にあえいでいる。
臓器移植法で国内での移植が制限されているため、高額な渡航移植を強いられている患者が、より重い費用負担を突きつけられた形だ。
「米国の病院から連絡がありました。デポジットは393万ドル(約4億円)です」。心臓の難病・拡張型心筋症を患った都内の河合栞璃ちゃん(当時11歳)の父、明さん(47)は主治医からそう告げられ、言葉を失った。傍らの妻は泣き崩れていた。今年3月下旬のことだ。
栞璃ちゃんが拡張型心筋症と診断されたのは昨年11月。心臓移植以外に助かる道はなく、家族は米西海岸にある大学病院での移植を希望した。明さんは過去の日本人の移植例から、海外渡航には医療費や渡航費、滞在費などを合わせ1億円以上かかると覚悟していたが、4億円は想定外だった。
「確かに娘の病状は重かったが、法外すぎる」。それでも明さんは知人の協力を得て募金活動の準備を進めた。栞璃ちゃんは直後に病状が急変、今年4月下旬に亡くなったが、明さんは「億単位のデポジットなんて普通の人には払えない。国内で移植ができれば、経済的負担や患者の肉体的負担も軽いのに」と語る。
多くの患者の家族は、渡航費用を自費だけでは工面できず、募金でまかなっている。渡航移植希望者を支援するNPO法人・日本移植支援協会によると、米国に送り出した移植患者の平均募金目標額は、2002年には6500万円だった。これが、08年は約1・7倍の約1億1000万円に上昇した。
医療費値上げの理由について、南カリフォルニア大で臓器移植を手がける岩城裕一教授は、「日本人の渡航移植を制限するためだ。本音では日本人に来てほしくないということ」と語る。一方、日本人患者を米国に送り出す東京大の許俊鋭特任教授は、「日本人は高額のデポジットも納めるので、経営の苦しい病院は助かっている」と見る。
外国人を受け入れる条件として、約2年前から英会話ができることを加えた医療機関もあり、「日本人に不利な条件だ」と、川合明彦・せんぽ東京高輪病院心臓血管外科部長は指摘する。
米国の医療機関が日本人を受け入れてくれるのは、年間移植件数の5%までは外国人の移植に使うことができるとするルールがあるからだ。以前はアラブ諸国の富豪も渡航していたが、近年は日本人が5%枠のほとんどを占める。
日本人患者の多くは、重症化してから渡航移植を決断する場合が多く、切迫度が高いとして待機患者リストの上位に登録される。その結果、比較的早く移植を受けられるが、切迫度の低い米国人患者は後回しにされ、その不満が日本人に向かっているという。
欧州や豪州では、日本人の受け入れをすでにやめている。患者たちにとっては米国が頼みの綱だ。日本移植支援協会の高橋和子事務局長は「命を救ってくれる米国の病院から提示されれば、言い値に従うしかない」と、ため息交じりに話す。
日本人には不利、というか、、、それは当然ですよね。自国内で賄うべきことです、こういう問題は。
今まで臓器をお金で買っていたという事実を「美談」として紹介している日本という国は、欧米でどう思われているんでしょうね。
なんというか、脳死臓器移植反対派という人たちは、こういう現状をニュースとかで見てるんですかね?何で反対できるのか、理解できません。そりゃ自分自身が一番好きな人とか、もう枯れていて小さい子供もいないしどうでもいいと思う人は、別に臓器移植の必要性を感じないかもしれません。でも例えば自分の子供が移植しないと死ぬってなったら、どうするんですかね。
だって選択肢がないですよね。アメリカに何億と積んで臓器を買うか、東南アジアに行って臓器を買うか。
まあ今までもそれを黙認してきたような無責任な馬鹿たちなので、こういうこと聞いても「そんときはそんとき」って言うのかもしれませんけど。もうちょっと頭使ってほしいです。
反対してる民主党とか社民党とかに、先天的な疾患をかかえる子供たちについてどういう医療をするのが最良なのか、考えを聞かせていただきたいですね。正しい意見だったら受け入れますけど、今までに正しい意見を見たことがないので。
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ここまで言われるのはさすがに不愉快だ。
なぜここまで反対している人に対して嫌悪感丸出しで攻撃的なの?
反対だっていう意見は持っちゃいけないの?
反対している人たちだってニュース見てるよ。
むしろ賛成派と同じように興味を持って情報を得てるよ。
両者の違いはただ結論が反対だっただけ。
賛成派の人たちがすべきことは反対派を叩くことじゃないんじゃない?
一人でも多くの「あんまり関心の無い人」たちに関心を持ってもらうことでしょ。
理解が深まれば「その時はドナーになっても良い」って人は結構いると思う。
それに臓器提供できるのは脳死下だけじゃないよね。
意見が違うからと言って「無責任な馬鹿」呼ばわりしないで欲しいです。
脳死移植に反対という一般の方の意見をどうこうするというより、この記事を書いているときは反対派の政治家について言及しようと思って書いていたものですから。ご気分を害してしまったこと、お詫びいたします。
おっしゃられているとおり、賛成派がすべきことは無関心な人に意見をもってもらうことです。ですが法律という立場で考えた場合、反対=無関心では困ります。政治家という国を挙げての立場で反対、とする考えが個人的には甘いと思っております。
何故なら、これも貴方の意見に含まれていると思いますが、脳死臓器移植に反対ならば脳死臓器移植を行わない、という選択肢は当然とられるべきであり、裏を返せば根底に流れる本流は「脳死臓器移植を法律で制限しない」状態が作られているべきだと思うからです。脳死と宣告された我が子から臓器を取り出してほしくないならば拒否すればいい、それは今までと変わりません。大きく変わるのは、臓器を提供する意思をもっている場合、臓器提供できるという点です。
勿論、臓器移植に反対している人から強制するような流れはつくるべきではありませんけれど。
家族の感情を無視して臓器移植を行えと主張したいのではなく、政治家という立場の人間が反対しているのは無能極まりないと主張したい。
うん、直接には政治家に向けられた言葉だというのは分かってたよ。
でもね、政治家というか国会議員は私たち日本人の代議。
反対票には反対の、賛成票には賛成の国民の意思が反映されてる。
私たちはそれを忘れちゃいけないよね。政治家のせいにもしちゃいけない。
これは私たちの問題なのだと意識しなくちゃいけないよね。
臓器移植法の改正について国民的議論がイマイチ盛り上がらないことを私も悲しく思っています。
今回のA案の可決では「反対=無関心」というより「賛成=取りあえず良い人でいたい」が多かった気がしてる。
まぁ、これらの印象にはお互い自分の主義主張バイアスが掛かっちゃってるかもしれませんね。
でも…反対って早々簡単には言えないよ。
患者を見殺しにする「消極的殺人者」のレッテル貼られるもの…。
ところで、ちょっと訊いてみたいのだけど…
現在、子どもの死後提供でも相当少ないと認識していますが、
もしA案、B案、D案(私は消去法でD案支持だ)が通った場合、子どもからの臓器提供は増えると思う?
イヤミとかじゃなく、純粋に賛成派の方の意見を聞いてみたくて。
>子どもからの臓器提供は増えると思う?
増えますね、
国民感情が理由で、他の先進国並に増えるとは思っていませんが、そもそも今の法整備だと「子供の脳死臓器移植が禁止されている」という点が大きな過ちだと思います。反対する人は臓器提供しなければいいし、臓器をもらわなければいいのです。賛成の人が臓器を提供すればいい。この当たり前のことが今まで法で禁止されていたのが問題だっただけだと思います。安直ですが。
それを考えれば、自分の子供の臓器を他者に提供するという選択をするご家族もいると思いますよ。
まあ変な話、脳死状態だと言われても子供の死を受け入れられなくて、1年以上もケアし続けるという道もあっても良いとは思いますが、脳死であるといわれたことで、死を受け入れて救われる人たちもいると思います。生への束縛(心臓の鼓動、といった)だけが家族の救いであるわけではないですから。他の子供の命を救うことができた、ということで救いを感じるご家族もいらっしゃると思いますし。そういう選択肢があってもいいのではないでしょうか。(A案以外だと、そういう考えの人の行動すらも抑制してしまうところが大きな間違いだと思っています。)
(私はここで脳死臓器移植についての是非を論じたい訳じゃないです)
一人でも多くの人に有用で権利を保障された改正案になるよう心から願っています。