脳卒中には、血の小さな塊(血栓)が脳の血管に詰まる「脳梗塞」、動脈にできたこぶが破れて、くも膜下に流れ込む「くも膜下出血」、脳内の細い血管が出血する「脳出血」がある。
くも膜下出血の治療は、破裂した血管のこぶの根元を金属で挟んで再出血を防ぐ手術(クリッピング)や、脚の付け根の血管から脳まで細い管を通し、破裂したこぶに金属製のコイルを詰める脳血管内治療が行われる。また脳出血では、血圧を下げるなどの薬物治療や、重症の場合には血の塊を取り除く手術が行われることもある。
脳梗塞では、血を固まりにくくする薬物治療のほか、発症して間もない患者では、血栓を溶かして血液の流れを回復させる血栓溶解療法(t―PA治療)も行われている。t―PAは血栓を溶かす薬剤で、腕の静脈から点滴する。治療を受けた患者の4割程度で、3か月後にほぼ後遺症がなく回復するとされている。
ただしt―PAは、発症から時間がたった患者では、脳出血の危険性の方がかえって高まるため、使用は「発症から3時間以内」が条件だ。そのために病院では、脳梗塞が疑われる患者を受け入れ後、手早く検査・診断できる体制を整える必要がある。
脳梗塞患者数に対する実施率は平均で4%。5%未満の施設は269施設、5〜10%が119施設、10%以上が27施設だった。一方、実施数がゼロの施設も46か所あり、医療機関によって差があった。
聖マリアンナ医大(川崎市)神経内科教授の長谷川泰弘さんは「救急隊との連携体制など地域全体の取り組みが問われる。治療の効果などを検証し、結果を公表する仕組みを早急に作る必要がある」としている。脳卒中では、顔・手足の片側のしびれ、ふらつき、うまく言葉が出ない、激しい頭痛や吐き気・嘔吐などの症状が突然表れる。異変を感じたら迷わず受診するよう、長谷川さんは呼びかけている。
日本の良いところは、全国どこでも標準の治療を受けられる、という点ですからね。
脳梗塞の症状があって、画像でもそれを確認できて、発症から時間が経っていないとしたら、t-PAによって劇的な治療効果を挙げることができます。それをしない、のは医療を提供する側の体制の不備です。
救急車要請されて、病院にすぐに到着して、早期発見するのも重要なポイントではありますが、t-PAの実施がゼロというのは解せませんね。救急体制の問題なのか、それとも病院そのものの問題なのか。大きな改善点ではあります。
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