人間のそううつ症状と関連があるとされるマウスの状態を制御する遺伝子の一つを、名古屋大大学院の海老原史樹文教授らのグループが特定。研究結果を25日付の科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」電子版に発表した。この状態のマウスは抗うつ薬の試験に使われており、研究成果が精神疾患の原因究明や薬の開発などにつながる可能性もあるという。
海老原教授によると、マウスの状態は「行動的絶望」といい、人間のうつ状態に近く、強いストレスが原因であきらめたように動かなくなる。
同教授らは、逃げ場のない水槽内を泳がす「強制水泳テスト」などをマウスに実施、ストレスを与える実験を重ねたところ、通常陥るはずの行動的絶望にならず、そう状態に近くなるマウスがいることが分かった。
分析の結果、これらのマウスは「Usp46」という遺伝子が欠損していたことが判明。正常なUsp46を導入したところ、そう状態から行動的絶望に変わったといい、この遺伝子が関係していることが特定されたという。
結局のところ鬱病や躁病は脳の分泌物質の異常によるものです。ストレスが原因というわけではなく、ストレスが「誘引」という認識が正しいと思います。
マウスによる研究の結果、それらの原因とされる遺伝子が特定されたのは、精神医療において大きな一歩だと思います。
日本ではまだまだ偏見が根強い。どう研究が発達しても、やはり精神の異常というのを受け入れられないものなのかもしれません。ならば原因の特定と、より確実な治療法の確立で少しでも鬱病に対して偏見が取り除かれれば、生きにくい社会も徐々に改善してくるのではないかと思います。