通常より若い年齢で卵巣が機能しなくなる「早発閉経」の女性の卵子を発育させる新たな治療法を、聖マリアンナ医大の石塚文平教授(不妊内分泌学)とIVFなんばクリニック(大阪市)の森本義晴院長らのチームが開発し、患者19人中5人(26%)で体外受精卵ができたと、同教授が12日明らかにした。うち30代半ばの1人は、妊娠4カ月を迎えた。
患者は全員が早発閉経の診断から4年以上経過。こうした患者で卵子採取や受精にこぎ着けたのは非常に珍しいという。
新治療法は、ホルモン剤の投与で人為的に規則的な月経周期をつくり出す従来の治療法を改良。
月経周期は約1カ月だが、チームは、卵子が卵巣にある「卵胞」と呼ばれる組織の中で、もっと長い時間をかけて成熟することに注目した。
約120日の長い周期でホルモンバランスを管理し、卵胞への血流を良くするタンパク質の投与を組み合わせるなどの工夫で卵子の成熟を促した。卵子は、卵巣に針を刺し、体外に取り出した。
昨年10月から、30−44歳の患者計19人に実施したところ、6人から計8個の卵子が採取できた。
うち5個は十分に成熟していたため夫の精子と体外受精させた結果、すべて受精に成功。受精卵を子宮に移植した1人で妊娠が確認され、4人は移植のタイミングを計るため受精卵を凍結保存しているという。
早発閉経、と診断はついているものの、閉経がいつか、というのは個人差がありますからね、、、と月並みなコメントをしようと思っていたんですけれど、これはスゴイ。
ただ単に月経周期に合わせてホルモンを調節するのではなく、120日という長期的スパンで、卵子を育てることに成功したのが素晴らしい。この手法が全国的に普及すれば、早発閉経で子供を授かることのなかった夫婦も高確率で妊娠することができることでしょう。
早発閉経
卵巣の働きが衰え排卵がなくなる閉経を、平均よりかなり早く迎えること。日本人女性の閉経は一般に50歳前後だが、40歳未満で閉経した場合は早発閉経と呼ばれる。染色体異常など先天的な原因のほか、抗がん剤や放射線治療などの副作用で起きることもあるが詳しいことは分かっていない。日本産科婦人科学会によると頻度は30歳未満で千人に一人、40歳未満では百人に一人程度と推定される。
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