ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:三谷宏幸)は、4月22日、治療抵抗性統合失調症の治療薬として、「クロザリル(R)錠25mg/100mg」(一般名:クロザピン)の製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。
「クロザリル」は、日本で初めて「治療抵抗性統合失調症」の適応症を認められた抗精神病薬です。本剤は、2種類以上の抗精神病薬を十分な量、十分な期間投与されたにも関わらず、十分な効果が得られない患者さんに対する治療薬として、すでに世界97カ国で承認されています。なお、日本においては統合失調症の入院患者さんのうち9%の患者さんが、本剤の適応となる治療抵抗性であると考えられます。
クロザリルは、1969年にオーストリアで最初に抗精神病薬として承認を取得した後に、1975年フィンランドで、発売後6カ月間で8名の死亡を含む16名の無顆粒球症の発現が報告されたため、各国で販売中止や開発中止の措置がとられ、日本での開発も中止されました。しかし、その後、本剤は、既存の抗精神病薬で効果がない患者さんに対して有効性があることが示され、治療抵抗性の統合失調症に対し、血液検査を義務付けて使用されています。さらに、アメリカ、イギリスなどでは、血液検査の確実な実施と処方の判断を支援する「クロザリル患者モニタリングサービス」(Clozaril Patient Monitoring Service、以下CPMS、アメリカでの呼称はClozaril National Registry )を導入しています。クロザリルは、このような厳しい安全管理のもと、1975年に発売されて以来、世界で380万患者・年の患者さんに使われています。
ノバルティス ファーマは、日本においても、無顆粒球症、好中球減少症などの早期発見・早期対処を目的としたCPMSの導入により、厳重な安全管理のもとに本剤が使用されるように推進していきます。
今回の承認にあたっては、CPMSに登録された医療機関、医師、および保険薬局においてのみ、登録された患者さんに処方がなされるよう、承認条件により義務付けられております。このため、適正使用の推進とCPMSの適切な運用を行えるよう有識者(医師、薬剤師、法律・倫理の専門家等)からなる第三者委員会を設置することになりました。
クロザリルは、国内臨床試験において、治療抵抗性統合失調症の患者さんにおいて57〜67%に改善が認められました。また、5年近くの長期投与においても、精神症状のコントロールが可能であることが認められています。副作用は無顆粒球症、好中球減少症、耐糖能異常、てんかん、悪性症候群、痙攣、腸閉塞などの重大な副作用を含めて、ほぼすべての患者さんに発現しています(77例中76例)。
今回の承認取得に際し、代表取締役社長 三谷宏幸は以下のように述べています。
「クロザリルは、治療抵抗性の統合失調症に苦しむ患者さんやご家族から発売を待ち望まれてきました。このような患者さんに真に役立つ治療薬を医療の現場に届けられることを大変うれしく思います。本剤に関しては、安全性を中心とした情報提供を最優先に行うことが重要であると考えており、委員会の先生方や、医療関係者、当局の方々のご指導とご協力を得て、徹底した安全管理を図り、患者さんの治療に貢献していきたいと考えています」
ノバルティス ファーマは、CPMSの適切な運用を通じ、今まで治療が困難であった治療抵抗性の統合失調症の患者さんが、クロザリルによって安全に治療できるよう、適正使用の推進に努めていきます。
クロザリル、副作用もあるようですが知識のある人が適切に使えば、治療抵抗性のある統合失調症の患者さんにも有効とのことです。
精神科領域の薬で新薬が承認されるのはいいことですね。使う人さえ間違えなければより多くの人の症状を緩和することができますし
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