新潟大の小野寺理准教授を中心とする研究グループが、若いうちから脳の細い血管に障害が出て脳梗塞を起こす、まれな遺伝性疾患の原因遺伝子を特定した。23日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載される。
症状が似ているほかの脳障害や、脳血管障害が原因で起きる認知症の研究にも応用が期待されるという。
この疾患は脳の内部の「白質」と呼ばれる部分で、血管が詰まって血液が流れなくなる梗塞が起きる。研究グループは、患者や家族の血液で遺伝子を分析した結果、患者では「HTRA1」という遺伝子の働きが低下していることを突き止めた。
この遺伝子の作用を調べたところ、細胞の増殖などを促す「TGFベータ」というタンパク質の働きを抑えることが判明。患者では、このタンパク質が健康な人より余分に働くため、血管が硬化し、脳梗塞を起こしているらしい。
グループは「TGFベータが脳血管障害を起こすことが分かったのは大きな意味がある」として、今後、遺伝性ではない脳血管障害でも、このタンパク質の働きを弱めることで症状が軽減できるか、患者に協力を求めて研究したいと話している。
こういう研究の積み重ねで、未知とされる疾患の治療法も少しずつ解明されていくのでしょう。
蛋白質の研究がさかんになって、1つ1つの研究においては劇的な変化はないかもしれませんけれど、それが重なっていくことでいずれは深刻な病状も克服することができるようになるかも。
基礎医学的な研究をされている方を、応援しています。