2009年04月20日

アルツハイマー治療薬アリセプトで海馬の神経細胞を再生する。

アルツハイマーの治療薬、「海馬」神経細胞を再生

 認知症の一種、アルツハイマー病の代表的な治療薬「アリセプト」が、認知機能をつかさどる脳の「海馬」の神経細胞を再生させることを、名古屋市立大のグループがマウスを使った実験で突き止めた。認知機能の低下を防ぐメカニズムを持つことが分かったことで、発症予防や新薬の開発につながる可能性がある。

 同大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループで、研究成果は米薬理学会誌(電子版)に掲載された。

 正常なマウスに4週間、アリセプトを餌に混ぜて与え、海馬を調べると、細胞増殖を促進するタンパク質「IGF−1」が増え、海馬の神経細胞も約1・7倍に増加。さらに胃や腸の知覚神経を培養し、アリセプトを加えたところ伝達物質が放出された。このことから、アリセプトが消化管の知覚神経に作用して信号が脳に伝わり「IGF−1」が作られたことが分かった

 他のアルツハイマー病治療薬ではこのような効果がなかった。

 アリセプトは、アルツハイマー病の進行を抑制する効果があるとされる。脳の信号の伝達に必要な神経刺激物質「アセチルコリン」を分解する酵素を阻害することで、アセチルコリンが刺激する神経の数が増えると説明されてきた。

 岡嶋教授らは以前、マウスの実験で、トウガラシなどに含まれる「カプサイシン」による消化管の知覚神経への刺激が海馬に伝わり、神経細胞の再生を起こすことを解明した。

 ■アルツハイマー病治療に詳しい浴風会病院(東京都)須貝佑一・精神科診療部長の話…海馬の神経細胞を再生するという研究結果は新しい知見で評価できる。ただ人にも当てはまるかどうかは、さらに研究が必要だ。また、アリセプトは既に軽度の認知症患者にも投薬されているが、効果が出たり出なかったりしている。予防薬としての利用は今後も検討が必要だ。



 脳と消化管というのは、離れていても密接に関与しているものです。例えば脳に外傷などのストレスがかかると、消化管に潰瘍が出来たりします(Cushing潰瘍といいます)

 アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼという酵素を抑制することで、アセチルコリンの脳内濃度を高めるのがアリセプトの効能なのですが、消化管の知覚神経を経由して神経細胞を再生する働きもあるという点は大いに期待できますね。

関連
医学処:アルツハイマーをワクチンで治す夢


広告
posted by さじ at 02:06 | Comment(1) | TrackBack(0) | 介護
この記事へのコメント
<論文捏造>名市大准教授、懲戒解雇 老化研究で画像改ざん
毎日新聞 3月20日(火)2時2分配信
 名古屋市立大は19日、老化防止研究などの論文に改ざんや捏造(ねつぞう)があったとして大学院医学研究科の原田直明准教授(44)を懲戒解雇、監督責任者として岡嶋研二教授(58)を停職6カ月の処分にした。名市大の調査専門委員会によると原田准教授は熊本大研究生時代(05年)の1本を含む計8本の論文で過去の実験画像を新しいものとして使ったり、画像に手に加えたという。原田准教授は「論文作成中に、仮に作成したものを誤って使ってしまった」と説明しているが、調査委は信用できないと判断した。

監督の教授停職 岡嶋教授が責任著者を務めた論文19本で画像に手が加えられたり、他の実験画像の流用が判明した。調査委議長の今川正良副学長は「岡嶋教授の不正関与を裏付ける証拠はなかったが、本人が不正に気づいていなかったとは考えられない」と述べた。

 処分された2人は育毛や老化防止、認知症予防に役立つ物質を研究。学外から指摘があり、昨年3月から調査委が調べていた。戸苅創(とがり・はじめ)学長は「研究機関としてあるまじきことで大変遺憾。早急に再発防止に努めたい」とのコメントを発表した。【河出伸】
Posted by とおりすがり at 2012年03月20日 10:07
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック