注射針を使わずに、弱い電流で薬物を体内に吸収させる「痛くない予防接種」の開発に、京都薬科大や北海道大などのグループが動物実験で成功した。麻酔薬などの投与法では実用化されているが予防接種成分ではできなかった。28日の日本薬学会で発表する。
薬物に電気を帯びさせて、電流を使って皮膚に吸収させる手法は、注射針のように皮膚を傷つけず痛みもない。日本ではほとんど使われていないが、痛みを極度に嫌う人が多い米国などでは需要があるという。薬を飲み込めない高齢者や飲んでも吐いてしまう人などにも使われる。
しかし、予防接種成分は、分子量が大きく、電気を帯びにくいため、この手法が使えなかった。そこで、京都薬科大の小暮健太朗教授らは、予防接種成分に、リポソームという電気を帯びやすい物質を混ぜて粒子状にした。ネズミの背中の皮膚に電流を流して送り込むと皮下にまんべんなく広がった。免疫が刺激され、予防接種成分に対する抗体ができたことも確認した。
インフルエンザでは最初に感染する鼻やのどなどの粘膜に抗体ができると、予防効果が高まるとされるが、予防注射による抗体は主に血液中にできる。今回の方法で、補助に加える物質を工夫すると粘膜にも抗体ができるという。
へぇー。痛くないことって結構重要ですからね。
極力患者さんには痛くないようにしてあげたい、とは医療従事者なら誰しも思うことですが、患者さんのためにもやらざるをえないわけですから。
日本人は我慢が得意というか美徳に思っているところがあるんで、海外のように注射前に麻酔クリームを塗ったりすることはないんでしょうけれど、特に子供とかの場合はこういう手法のほうが良さそうです。
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