アジサイの葉が原因と見られる食中毒が昨年、2件相次いだ。
当初は青酸系の成分が原因とされていたが、1件では検出されず、もう1件も微量で、「シロ」の可能性が高くなった。アジサイが食卓に上ることは昔からあり、市場にも流通しているのに、過去に中毒の報告が全くなかったのも不可解で、「別の有毒成分があるのでは」「アジサイの種類によって違う」という見方も出ている。アジサイは、はたして有毒なのか。各地の研究者や行政担当者は首をひねりながら、謎を追いかけている。
昨年6月13日、茨城県つくば市の飲食店で、8人が料理に添えられたアジサイの葉を食べ、吐き気や、めまいを訴えた。同26日には大阪市の飲食店でも客1人に同様の症状が出た。
茨城県は、青酸中毒と似た急性症状だったことから、アジサイに含まれる「青酸配糖体」が原因で中毒が起こるという書物の記述を参考に、食中毒と発表。厚生労働省も、これをもとに全国に通達で注意を促した。
ところが、客が食べた店先のアジサイを県で精密に調べても青酸配糖体は検出されず、農薬など他の毒性物質も出なかったという。
厚労省には、複数の専門家が「そんな論文はない」と指摘。約80年前に米国で馬や牛が中毒したという簡単な報告しか見当たらず、8月に「知見が十分でない」と通達内容を訂正した。
一方、大阪市立環境科学研究所は、葉1グラムあたり29マイクロ・グラムの青酸配糖体を検出したものの、「微量だから1〜2枚で中毒は起きないはず」と困惑する。
他の自治体や大学も分析に乗り出したが、大阪以外では検出例はなかった。京都薬科大の吉川雅之教授らは、中国に自生する一種から青酸配糖体を検出。「国内でも多くの種類や産地で調べる必要がある」とし、26日に始まる日本薬学会で報告する。ただ、青酸配糖体では茨城県の事例の説明がつかず、「別の物質があるのだろう」という意見も多い。
茨城県・食の安全対策室の担当者は「とても苦くて何枚も口にできない。それでも、天ぷらや刺し身のツマなどに飲食店や家庭で時々使われてきたのだから、もし毒があれば報告がなかったのは不思議だ」と話す。
アジサイの葉の種類によって青酸配糖体含有量が異なる、ということでしょうか。専門家のほうでもよくわからん、ということですのでまぁ口にしないことが無難か。
青酸配糖体が検出されなかった食中毒事件では、もしかすると別の食中毒だった可能性もあるわけですよね。原因の究明って難しい。
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