愛媛大学で行われている研究で、海の悪者といわれるオニヒトデに意外な効用が見つかりました。
美しいテーブルサンゴが広がる愛媛・愛南町沖の宇和海では、温暖化の影響なのか、ここ数年オニヒトデが増え、サンゴを食い荒らしている。海のお花畑を無残な姿に変える悪者のオニヒトデだが、そのイメージを覆す意外な働きが発見された。
愛媛大学南予水産研究センターの三浦 猛教授は「釣ってきた魚を入れていたところにオニヒトデを入れてたら、そこの魚だけ病気にかからなかった」と語った。驚くべき現象は、愛南町にある愛媛大学南予水産研究センターで起きた。マダイに白点病という寄生虫の病気が流行したが、たまたまオニヒトデも一緒に入っていた水槽のマダイだけが、ほとんど死ななかったという。
三浦教授は「結果が非常にクリアに出ましたんで、これはきっと何かあるなと」と語った。マダイの病気を食い止めたオニヒトデの作用を確かめるべく、実験が行われた。マダイだけを入れた水槽、オニヒトデを1kg加えた水槽、オニヒトデを10kg加えた水槽で3週間飼育。すると、初め185.1mmだった体長が、マダイだけの水槽では平均4mm伸びたのに対し、オニヒトデを1kg入れた水槽では平均6.5mm、10kg入れた水槽では平均10mm伸びた。
一緒に入れるオニヒトデが増えるほど、マダイは餌をたくさん食べるようになり、体が大きくなった。
三浦教授は「オニヒトデが成長を促進するということがわかったんですけれども、どういうメカニズムで促進するかということはまだわかってない。多分、魚の飼育によるストレスを軽減させている可能性があるんじゃないかと予想しています」と語った。たくさんのトゲから毒を出すオニヒトデがなぜマダイの成長を促すのか。
三浦教授は、オニヒトデの分泌液を調べ、どういう物質がどのように作用するのか、解明を進めている。
養殖マダイは、すべてメスで生まれるが、成長するにしたがって半分ぐらいがオスになり、さらに3割ほどが「雌雄同体」と呼ばれるオス化したメスに変わる。オスや雌雄同体は精巣機能の影響で色が黒くなり、身も薄くなって商品価値が下がる。
オスが増える原因は、養殖のストレスと考えられているため、オニヒトデが強い味方になる可能性もある。安岡さんは「期待するものはあります。歩留まりがよくなれば、確実にコストが下がりますから」と語った。
凄い発見って、こういう偶然から生まれることありますよね。普通ならばオニヒトデが魚のストレスを減らすなんて考えませんし。たまたま同じ水槽に入れていたらなんか知らないけど良い効果が生まれた、と。
この発見が養殖業界を劇的に改善させるかもしれません。
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