全身の筋肉が徐々に弱くなる筋ジストロフィーのマウスに、新型万能細胞(iPS細胞)から作った筋肉細胞を移植して機能を改善することに、中畑龍俊・京都大教授らのグループが成功した。6日、東京で開かれた日本再生医療学会で発表した。
根本的な治療法がない筋ジストロフィーの発症を抑えることができる可能性があるという。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、筋肉の構造を維持するたんぱく質ジストロフィンが作られず、10歳ごろから歩行が困難になる。中畑教授らは、マウスのiPS細胞から筋肉を補強する細胞を作り、ジストロフィン遺伝子が欠損したマウスに移植した。
この細胞は筋肉に接着してジストロフィンを分泌し始め、筋肉組織を6か月以上、安定した状態に保ち続けた。
筋ジストロフィーの患者からiPS細胞を作製することにも成功しており、中畑教授は「iPS細胞でジストロフィン遺伝子を補い、早い時期に移植できれば、発症を数十年遅らせることができる」と話している。
筋肉がヤラれていく筋ジストロフィーですが、iPS細胞を移植することでその筋肉細胞は見事に変性を阻止することができるらしいです。
筋ジストロフィーの治療法がないだけに、これは大きな発展です。今まで神経内科のジャンルは、治療法がないというのが大きなネックだったのですが、iPS細胞で根本的に補ってやることで改善することができることが証明されました。
しかし臨床応用にはまだ時間がかかりそうです。できるだけ早く治療に使えるといいんですけども。
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