エイズウイルス(HIV)に感染した夫の精液からウイルスを除去し、体外受精する生殖補助医療を国内で受けた夫婦が110組を超えたことが、治療の窓口を担う荻窪病院(東京都)の調査でわかった。
71人の子供が生まれ、母子ともに感染例はないが、現在治療を実施している医療機関は2か所だけだ。ウイルス除去技術の習得が難しいことなどが理由で、実施機関の拡大が課題になっている。
治療がこれまでに実施されたのは、新潟大、慶応大、杏林大。治療法が開発された2000年から08年までに、111組の夫婦で計267回の治療が行われた。その結果、延べ59人の母親が計71人の子供を出産した。
杏林大は担当医師がいなくなったため、現在は中止している。治療を待つ夫婦は現在、約80組。荻窪病院では、全国の医療機関に協力を呼びかけているが、「母子に感染したら責任を負えない」「産婦人科医が不足し新しい治療を行う余裕はない」などとして、引き受けるところはないという。
同病院の花房秀次副院長は「治療法の安全性は確立したと思う。だが、医師が安全に実施するための技量を身に着けるには研修が必要で、各病院は二の足を踏んでいる」と話している。
ううむ、こういう技術も需要はあるんでしょうけれど、需要があるということがちょっと残念というか何と言うか。日本もあと数年したらHIV患者が当たり前のようにいる時代になってしまうんですかね。梅毒なんて昔っからあって、ペニシリンという治療薬ができたにもかかわらず、いまだに根絶できませんものね。性病って凄い。生き物の営みにダイレクトに絡んでくるだけあって。
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