そうめんは古くなるほど味がよいとされる常識は、正しくないとする実験結果を伝承料理研究家の奥村彪生さんが博士論文にまとめた。価格が最も高い「3年もの」は、脂肪臭や堆肥と同じにおい成分が、新物に比べ3倍に増えていた。
そうめんは、冬から春にかけて製造され、梅雨時期を1回経た新物、2回経た古物、3回経た古古物(大古物)に分けられ、古い物ほど2割ほど高くなる。
奥村さんは細めのそうめん3種(直径0.6〜0.7ミリ)を食品会社の研究所に依頼して分析、めんの油が分解して生じる嫌なにおいの成分を比べた。枯れ草のにおいの1―オクテン―3―オール、強い脂肪臭の2―ドデセナール、堆肥のにおいのヘキサナールが古いと増え、それぞれ古古物は新物の約3倍に増えていた。
また、畿央大学(奈良県)健康栄養学科の4年生ら19人に、種類を明かさず、もっともおいしいものを選んでもらうと、新物4人、古物13人、古古物2人だった。太めのそうめん(直径1〜1.2ミリ)の新物では、全員が前者3種のどれよりもうまいと評価した。
奥村さんによれば、古いほどよいとされだしたのは、供給過剰になり始め、極細にする技術が生まれた江戸時代中期以降。細いほど作るのが難しく高級とされる。だが、細いと、ゆでたとき水分を吸って伸びやすく、新物より硬い古物の方が歯ごたえがいい。
奥村さんは「そうめんが売れ残り、時間がたつと硬くなると偶然気づいたのではないか」と推測している。
18日に開かれた美作大学大学院(岡山県)の博士論文公聴会で発表した。
奈良県三輪素麺工業協同組合の寺田裕彦理事長の話「食味は個人の好みがあるので一概には言えないのではないか。何を基準にするかで好みはわかれる。こしのある方がおいしいという人は古物、大古物ほどいいという。においを気にする人もいるが、逆にそのにおいがいいという人もいる。製法や保存法も進歩して、使う油の量も減ったので、気になるようなにおいはそんなにないはずだ。」
なるほど・・・。まぁ人それぞれってことですかね。
日本では昔から保存食として食べられてきたものが、「うまい」と言われることもあるわけです。それはまぁその風土に合った食べ物ってことなんでしょうかね。外国人が食べたら臭いから古いそうめんは食べたくない、となるのかもしれませんけれど、日本人にしてみればその臭みこそアジなのだと。それはどの国にもあるものではないでしょうか。