心理学者によると、独りぼっちの寂しさは喫煙や肥満と同じく健康に害があるとのこと。
他人とのつながりの欠如が、我々を不幸にするだけでなく、身体や精神にも悪いことが発見された。拒絶されたという感覚や孤立が、血圧やストレスのレベル、一般的な消耗と同様にアルツハイマー病を発症する確率も引き上げる。また、力や耐久力も減少するため、健康的な生活を送る能力も影響を受けるという。
この研究は、シカゴ大のJohn Cacioppo教授がAAASの年次総会で発表したもの。
独りぼっちの寂しさは行動を変えるだけでなく、心血管系を通る血流の高い圧力にも関係する、と同教授は述べる。ストレスホルモン・コルチゾールを朝のレベルにまで引き上げ、免疫システムや高血圧、鬱の段階の引き上げに影響する。また、深い睡眠の取りづらさや、アルツハイマー病の早い進行にもつながる。
同教授は、健康に関して、孤独な人と人気者の違いを、喫煙者と非喫煙者の違いにたとえる。「この結果は、私を含め、研究チーム全員を気絶させるほどのものでした。それだけ強力なのです」
「孤独な人は病弱になります。運動せず、静かにすることが多く、多くのカロリーを摂取します。彼らはより多くの脂肪や砂糖を摂取して自らを慰めるのです」
「孤独は自分自身のコントロール能力を引き下げます。辛い日の後、慰めに二杯目、三杯目のスコッチに簡単に手を出してしまうのです」
「社会的神経科学」という新しい分野の創設者の一人でもある同教授は、他人とのつながりの必要を追求し、進化論的ルーツに辿り着いた。古代において生き残るためには、人々は子供を育てるためにつながりを持つ必要があった。栄えるためには、利他主義や協力を広げる必要があった、と結論付けた。
同教授は、火から指を遠ざけるなど、物理的な痛みが行動を変えるきっかけになるように、独りぼっちの寂しさという感覚が行動のきっかけとして進化したのではないか、それが他人との関係性の修復という先祖代々の必要性を示すものなのではないか、と考えている。
同教授は、さらに、この社会的孤独という問題が、従来の家族構成が死に絶えるに伴って深刻化するだろうと言う。なぜなら、人々はより長く生きるようになり、出産も遅く、子供も少なくなり、より世界中を動き回るようになったからだ。また、調査によると、一世代前に比べ、人々は親しい友人の数が有意に減っているとのことである。
この領域は今の日本にこそ必要な学問なのではないか、と思います。
確かに孤独の寂しさ、それによるストレスは計り知れないものがあります。人は一人では生きていけない、ということは医学的にもいえるのではないでしょうか。人間は強くありません。それゆえに別のほうほうで補おうとした結果、生活がすべてよろしくない方向へ傾いていく、と。
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