2009年02月18日

医師臨床研修を1年短縮したいという厚生労働省の暴挙

医師臨床研修:1年短縮へ 「短い」「甘い」現場反発

 医師不足の原因ともいわれる新人医師の臨床研修制度を見直す動きが、現場で波紋を広げている。厚生労働省と文部科学省は10年度から、人手確保のため研修期間の実質1年短縮を認める意向で、18日にも専門家検討会で結論をまとめる。しかし「1年で十分に学べるのか」と懸念する医師は多く、見直しの目的である医師不足解消にも、効果を疑問視する声が出ている。

 「専攻する気のない科の研修は、意欲をそぐ」(大学病院医師)

 「やる気がない研修医を甘やかして制度を変えていいのか」(患者団体代表)

 今月2日の検討会は、各委員の主張が激しくぶつかった。焦点は2年間で7診療科を回る現行制度の是非。1年短縮の賛成派は「必修科目を減らし、残りは専門分野で学んだ方がいい」、反対派は「診療能力向上の理念に逆行する」と、議論は平行線をたどった。

 新人医師の多くはかつて、出身大学の医局(診療科)に所属し、雑用に追われ、専門以外の診療能力も育ちにくい状況だった。これを是正するために現行制度が導入された。厚労省研究班の調査では、研修医が2年で経験する症例数は徐々に増えており、内容に過半数が満足している。

 だが厚労省は、効果の検証をしないまま、研修短縮ありきで見直しを始めた。舛添要一厚労相は早くから「2年を1年に」と話し、全国の病院の約6割が加入する四病院団体協議会などの反対意見は、事務局作成の「たたき台」に反映されなかった。

 期間短縮に強い危機感を抱くのが、必修から外される診療科の医師だ。日本精神神経学会の小島卓也理事長は「内科や外科の患者もうつ病などを併発するリスクは高く、どの専門でも精神科の研修は必要」と力説する。

 一方、研修が短くなれば地域の中核の大学病院に早く若手医師が戻ってくる、という厚労省の思惑にも、疑問の声が上がる。関東の大学の小児科講師は「研修医は都市部の大病院を選ぶ傾向が強く、期間や定員の変更では大学病院に残らない。地域医療を支える自負心を育てる教育が重要だ」と指摘。岩手医科大の小川彰学長も、見直しには賛成しつつ「診療科別の定員設定に踏み込まないと、産科など労働環境の厳しい診療科の医師不足は続く」と予測する。

 大学医学部の卒業生は毎年約8000人。その数の新人医師を働き手に組み入れても医師不足の根本解決にはならず、埼玉県済生会栗橋病院の本田宏副院長は「医師の絶対数を増やし、地域の実情に応じた細かい対策を取るべきだ」と訴える。



 ほんと厚生労働省の無能っぷりには現場の医療従事者は毎度怒り心頭ですけれど、これほど馬鹿けた改革案も類を見ません。

 そもそも1年の臨床研修で何が学べるというのか。人手が緊急的に足りていない産婦人科と小児科で、2年目を専門プログラム化するのはまぁ分からんでもないのですが、初期臨床研修全体を1年に短縮するとなると、こりゃバカか、の話です。

 しかも見直し案では、必修となるのは内科6ヶ月、救急3ヶ月、地域医療1ヶ月のみとのこと。驚きです。麻酔科も精神科もないとは。

 そもそも医学に無駄なことなどありません。たとえ内科志望でも外科の知識は必要ですし、外科も同様です。更に言えば必修とされている麻酔科、小児科、産婦人科、精神科の領域はどの医師にとっても絶対に必要なことのオンパレードです。研修でまわることで最低限の知識は身につきますし、専門に進んでもこれらの知識が必要でないことなどありません。これらの知識が欠けている医師は専門に行ってもろくな医者にはならんでしょう。

 まぁ厚生労働省は「医師不足なら1年の研修にして入局されてしまえば、医局に入る医者が倍になるんじゃね?」とか頭の悪いことを短絡的に考えてこのように言ったんでしょうけれど、まるで分かってませんね。問題が生じるに決まってます。そもそもこの案を実行した年の入局者数が2倍になることに関してはどう考えてるんでしょうかね。現場がなんとかするとでも?

 初期臨床研修を2年と定めてまだ数年。マスコミで医師不足がなんだと叩かれて、安易に1年減らして、本当にいいんですか、お偉いさん方。もうちょっと頭使って下さいよ。専門知識しかない医者が増えたら目も当てられませんよ。

【初期臨床研修】

 医師法に基づき04年度から現行制度が始まり、原則1年目に内科(6カ月以上)、外科、救急・麻酔科を、2年目に小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療(各1カ月以上)を学ぶ。見直し案は、必修を内科(6カ月以上)、救急(3カ月以上)、地域医療(1カ月以上)のみとした。研修先は自由に希望できるが、地方や大学病院を選ぶ研修医が少なく、見直し案では都道府県ごとに募集定員を設けるとしている。

関連
医学処:研修医後の進路の選択肢を広げる、マッチングプラザを開催
医学処:産婦人科や小児科に特化した臨床研修プログラムを大学病院で


広告
posted by さじ at 23:57 | Comment(1) | TrackBack(0) | 大学
この記事へのコメント
研修期間を短縮するという方法では、抜本的な解決にはなりませんよね。医療費削減の方に手を打たない限り問題は解決しないように思います。
まあ、厚労省は自分達の都合でしか動きませんから、今更意見言っても無駄でしょうけど。
Posted by れい at 2009年02月19日 14:59
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。