試験管の中で再現されたバクテリアの「生物時計」が時差ぼけを修正する機能があることを、名古屋大大学院理学研究科の大学院生吉田拓矢さん、村山依子、伊藤浩史両研究員らのグループが突き止めた。生物時計を構成するタンパク質が外界の温度の変化を感知し調整していた。人間を含む生物全般の生物時計の仕組みの解明が期待され、成果は米科学誌に掲載された。
生物は睡眠と目覚めを規則正しく行う「生物時計」を持っている。同研究科の近藤孝男教授らは、原核生物のシアノバクテリアの3種のタンパク質KaiA、B、Cが24時間周期で、リン酸の結合・分離を繰り返すことを証明。これら3つを時計タンパク質とし、リン酸を供給するATP(アデノシン三リン酸)とともに試験管内で生物時計をつくることに成功していた。
これまで時計タンパク質には、光や温度の変化を感じ取るセンサーはなく、ずれを修正する能力はないと考えられていた。
グループは、リン酸の結合・分離のタイミングを6時間ずつずらした試験管を4つ準備。昼夜の変化と同じように12時間ごとに気温30度、45度の変化を与えると、4日目ですべての試験管でタイミングが一致するようになった。グループは「時計タンパク質が温度変化を感じ取り、生物時計をリセットしている」と結論づけた。
近藤教授は「過去の研究でハエの生物時計も温度変化でリセットする機能がある。すべての生物の生物時計に普遍的なメカニズム解明につながる可能性がある」と話している。
ほー。面白い。光によるものだけでなく温度によっても調整されているんですかね。人間に応用すればうまいこと時差ぼけを解消できるかも。昼夜逆転もこの勢いで直せないものですかね。
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