脳腫瘍の抗がん剤が、脳内に運搬される様子を画像で示すことに、放射線医学総合研究所(千葉市)の青木伊知男チームリーダーらが世界で初めて成功した。
薬の効果の判定が予測しやすくなるため、患者の特性に応じて抗がん剤の投与量を調整する手法の開発につながりそうだ。近く、米専門誌に掲載される。
脳には「脳血液関門」という構造があり、薬剤が入りにくい。これまでは投与した抗がん剤が脳にどの程度運ばれるか、直接確かめることができないため、がんの縮小率などを指標に、薬の効果を判定している。
研究チームは、国内未承認の脳腫瘍の抗がん剤に、造影剤を結合した薬剤「SLENU(スレニュー)」を開発。この薬剤をマウスの静脈に注射したところ、20秒後に脳内に薬剤が運ばれている様子が、MRI(磁気共鳴画像)で観察することができた。
また、スレニューは、がん細胞が死ぬときに出る活性酸素で性質が変化するため、この薬剤でがん細胞がどれくらい死んだか、治療効果を判定することもできるという。
腫瘍に対する抗がん剤治療も進化しつつあります。今までは画像診断で、腫瘍がどれだけ縮小したか、または腫瘍マーカーを測定したりしていましたが、これは細かいレベルで、どれほど効果があるのかを判定することが出来るようです。