大量発生し漁業被害をもたらすエチゼンクラゲなどから抽出した糖タンパク質「ムチン」の新物質を、肌の潤い成分として知られるヒアルロン酸とともにウサギの関節に注入したところ、変形性関節症の治療に効果があったと、理化学研究所と東海大の研究グループが30日、発表した。
変形性関節症は、関節の軟骨がすり減って痛みや変形を引き起こす病気。加齢やけがが原因で、国内には約700万人の患者がいるとされる。ヒアルロン酸を関節に注入する治療は普及し始めているが、ムチンは人工的につくることが難しく、研究が進んでいなかった。
今後、実用化に向けさらに実験を進めるほか、“厄介者”のクラゲを有効活用するための会社を立ち上げる予定という。
研究グループは、人や家畜のムチンより構造が単純で高い純度を維持できる「クニウムチン」をエチゼンクラゲやミズクラゲから抽出。
変形性関節症にしたウサギの関節に、ヒアルロン酸と一緒に注入したところ、ヒアルロン酸だけを使うより軟骨部分の厚みが増すなど、1・6−2・6倍の改善効果があり病気の進行が抑えられた。
クラゲをどうにかして商用化できないか、というのは各地で行われているみたいですね。クラゲアイスとか。
でもこのクラゲ抽出ムチンは、もし実用化できればWIN&WINなのでは。クラゲの大量発生で困っているところは、商品化できる価値のあるものになるわけですし、医療者としても変形性関節症で苦しんでいる患者さんに治療として使うことが出来、患者さんは日常生活が楽になる、という。
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