50歳以上で体調の良好な人が適度の飲酒を続けると、健康維持の効果が得られるとの研究報告が、米国でこのほど発表された。米国人男女4200人のデータを分析した結果、明らかになったという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校で高齢者医療を研究するアルン・カーラマングラ博士らが、専門誌「米疫学ジャーナル(AJE)」の最新号に報告した。それによると、チームは米衛生当局が実施した全米健康栄養調査(NHANES)から、中高年層の追跡データを抽出。自己申請に基づく飲酒の状況と、健康状態との関係を調べた。
この結果、日常的に少量または中程度のアルコールを摂取していた人は、まったく飲まないグループや大量に飲むグループと比べ、5年以内に介護が必要となるなどの障害を負ったり死亡したりする率が23%低いことが分かったという。ただし、健康効果が確認されたのは、体調が「良好」と答えていたグループのみで、「良くない」「まあまあ」と回答したグループでは、アルコール摂取による変化は見られなかった。
「少量または中程度」とは、週に15杯未満、1日に5杯未満(女性の場合は4杯未満)の酒を飲むグループ。過去1年間に飲んだのが12杯未満だった人は「まったく飲まない」、週に15杯以上または1日に5杯以上飲む人は「大量に飲む」と分類された。調査対象者は白人が約92%を占め、平均年齢は60歳だった。
適度な飲酒に健康効果があるとする説は、これまでにも多数の研究者が報告している。その理由には諸説があるが、カーラマングラ博士は「アルコールには動脈硬化を抑えたり、いわゆる善玉コレステロールを増加させたりする作用があるといわれている」と指摘。「体に良いからといってつらいことを我慢するのではなく、楽しみながら続けられる」と、飲酒の利点を強調する。博士自身も毎晩1杯のワインを楽しみ、患者らにも適度の飲酒を勧めているという。
タバコと違って、お酒のメリットは結構報告されていますからね。
ただ、健康的に飲むためには量を適量にすることが大事です。アルコールで肝障害などを負う人は大抵、かなりの量を飲んでいますから。
お酒は楽しく、節度を保って飲みましょう。
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