生物の細胞質分裂や精子の形成などにかかわるとされるたんぱく質「セプチン」に様々な細胞の形を制御する機能があることを、名古屋大学の滝口金吾助教らのグループが世界で初めて突きとめ、米科学誌「カレント・バイオロジー」電子版に発表した。
セプチンは脳や精巣などに幅広く存在し、その異常がパーキンソン病や男性不妊症などに関係していることはわかっていた。
滝口助教らが、リン脂質でできたリポソームという人工の生体膜にセプチンを加えたところ、リポソームから多数の突起が伸び、さらにセプチンが突起部分の周囲を巻くようにして糸状の線維を形成した。こうした形状は、動物の神経細胞などに見られることから、セプチンの機能が判明した。
滝口助教は「セプチンの異常による疾患の発症原因や治療方法の究明につながる」と話している。
人間の身体の中にはどれだけ未知の蛋白質が存在しているんでしょうか。大まかな生体メカニズムは分かっているとしても、それを支える機序は想像できないほど膨大なのでしょう。
そしてそれのどれか1つが異常となり、その異常を他のタンパク質がカバーできなくなると、病気として症状を発現する。これからの医療はその原因究明と、治療法の確立ですね。難病とされている疾患、病気としてみられていなかった状態も克服できる時代がくるかも。