最近、「病院」から「医療センター」へと名称を変える医療機関が増えている。旧国立病院や大学病院が改築・増築を機に改称することが多いが、病院と医療センターは違うの?
一気に増えたのは、2004年の国立病院の独立行政法人化がきっかけだ。かつての結核療養所を中心に、「医療センター」への改称が相次いだ。現在、国立病院機構の146施設のうち、46施設が「医療センター」。00年以降、大学病院では8施設が新設または改称。自治体病院では20施設近くで看板が変わった。
医療法の上では、19床以下は「診療所」で、それを超えると「病院」となる。「医療センター」という呼称に法律の定めはない。
東京医科歯科大学教授(医療経済学)の川渕孝一さんは「『センター』には、『病院より高機能』というイメージがあり、適当と思われているのでは」と話す。
医療の現場では、00年ごろから、「患者中心」をうたい、内科、外科など専門科の壁を取り払った「消化器病センター」など疾患ごとの診療体制を作る動きが進んでいる。が、病院の名称変更は、また、別の理由のようだ。
国立病院機構本部で広報を担当する坂口大さんは「結核療養所から始まった旧国立病院も現在は、診療科を拡充し、多くの一般患者を受け入れている。地域での印象を変えるPRの意味合いがある」と話す。
一方、自治体病院は、統合や経営計画見直しで出直しをはかる施設が多い。県立と市立の二つの病院を統合して誕生した日本海総合病院酒田医療センター(山形県酒田市)や高知医療センター(高知市)がそれ。
昨年4月に改称した滋賀県の甲賀市立水口市民病院は逆に規模縮小が理由だ。8人だった常勤医師が2人に減り、一般患者の入院受け入れが出来なくなり、医療法上、病院から診療所に降格。それでも5科あり、一般の診療所とは違うということで、水口医療センターとなった。
05年10月、東京女子医大東医療センター(東京都荒川区)と改称した旧第二病院。同センター事務部次長の杉本勝則さんは「地域医療の中核にふさわしい名称にしたいという思いが医師らにあった」と説明する。
ところで、改称で患者増など効果があったかと尋ねると、「影響はない」というところばかり。名前のイメージで病院を選ぶほど患者は甘くなさそうだ。
医療センターのほうが、より専門的な医療を提供してくれそうなイメージがありますね、一般人としてみると。
病院、という名前は一般的になりすぎた感じでしょうか。やることは病院だろうと医療センターだと変わらないと思いますけれども、多分。
医療センターと名乗るからには専門性を意識して患者さんもこられると思うので、その期待に応えてあげることができるかどうか、というところも。
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