手足のまひや視覚障害などが起きる神経難病「多発性硬化症」の治療のカギとなる、神経の再生不良の原因を慶応大医学部の中原仁講師らが解明、国際医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカルインベスティゲーション」1月号に発表した。
多発性硬化症は、神経を覆う「さや」が壊れ、電気信号がうまく伝わらなくなる病気。健康な人の場合、「さや」が傷つくと、オリゴデンドロサイトという細胞が成長して、自然に傷が修復されるが、多発性硬化症では、この自然な再生がうまくできない。
中原講師らが多発性硬化症の患者の脳で、オリゴデンドロサイトに成長する過程を詳しく調べたところ、その成長を妨げる「TIP30」という分子が病変部分で異常に増えていることを発見した。中原講師は「この分子を抑える薬を開発すれば治療につながる可能性がある」と話している。
多発性硬化症といえば神経の難病。神経の難病といえば、慶応大学病院です。
難病というのは原因不明の疾患を指す言葉ですが、もしその原因が解明されれば、治療法の鍵となることは間違いありません。薬で多発性硬化症が完治する時代は、すぐそこ、なのかもしれない。
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