手足の震えや動作が緩慢になるなどの症状が出るパーキンソン病の一種で、遺伝性の「ペリー症候群」の患者に共通する遺伝子変異を、坪井義夫・福岡大准教授(神経内科)と米国の医療機関などのグループが突き止め、19日までに米科学誌ネイチャージェネティクスに発表した。
パーキンソン病は遺伝によらない「孤発性」が約9割を占めるとされるが、坪井准教授は「症状の進行が早いペリー症候群の遺伝子の特定は、孤発性パーキンソン病の発症メカニズムの解明にも役立つ」と話している。
ペリー症候群は1975年にカナダで確認されて以来、日本を含む世界の8家系でしか見つかっていない極めてまれな疾患。40歳代前半での若年発症が多いのが特徴。
坪井准教授が福岡大の山田達夫教授らとともに2001年に日本で初めての家系を報告して以降、発症者と非発症者を含む全家系の約60人の遺伝子を調査した結果、既に発症した約20人全員について「DCTN1」と呼ばれる遺伝子に変異があることが分かった。
DCTN1は神経細胞内の物質輸送に関するタンパク質「ダイナクチン」をつくる遺伝子。変異でダイナクチンに異常が生じ、脳内の情報伝達に支障が出るとみられる。
ほかに、ペリー症候群の患者の神経細胞内に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などでも脊髄などへの蓄積が確認されている別のタンパク質「TDP−43」が蓄積することも判明。このタンパク質の働きには未解明な点が多いが、共通の病理現象として注目されるとしている。
世界で8家系しかいないというのはすごい。極めて稀な疾患、という域を超えるほどレアな疾患です。
少数の診断・治療とはいえ、その発見と今後の解明によっては、パーキンソン病の治療につながる可能性もあります。
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