2009年01月16日

臨床試験の抗がん剤マツズマブ投与後に死亡した件で訴訟に

臨床試験薬を投与後死亡 遺族が病院・製薬会社を提訴へ

 臨床試験(治験)中の抗がん薬「マツズマブ」(EMD72000)を投与された後に死亡した大阪市の男性(当時71)の遺族が、近畿大医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)側とドイツの製薬会社「メルクセローノ」の日本法人(東京)に慰謝料など4950万円の賠償を求める訴訟を14日、大阪地裁に起こす。

 遺族は、日本癌治療学会のガイドラインでは治験薬の投与は「従来の標準的治療法ではもはや無効か、確立された治療がない場合」に限られており、投与はこれに反するものだったと主張。近大病院には「国が承認済みの抗がん剤を施す余地もあったのに治験を優先した過失がある」、メルク社については「不適切な治験を監督する義務を怠った」としている。病院側は朝日新聞記者の取材に「男性側とは示談交渉中のため取材には応じられない」と回答。メルク社は「個別の事情は承知していない」としている。

 EMDは05年9月、メルク社が武田薬品工業(大阪市)と共同開発を始め、昨年2月、「効果が得られない」として開発を打ち切った。非公表の関係資料によると、投与例は少なくとも海外で265件、国内で26件。このうち頭痛や発熱、発疹などの副作用の症例が海外で214件、国内で8件報告されている。死亡例は海外で34件あり、国内では男性の死亡まで報告がなかったとされる。

 遺族側によると、男性は03年に肺がんと診断され、05年から近大病院で治療を受けた。06年4月、担当医は男性にEMD投与を勧め、副作用情報も示したうえで「あなたにはEMDが効く」などと告知。男性は同意のうえ、EMDの点滴を2度受けた。まもなく肺炎を発症し、翌月、転院先で死亡した。

 一連の経過をめぐって遺族側は、近大病院側が肺炎の発症がEMDの副作用によるものと認める一方、その責任は否定したとしている。

 厚生労働省は薬事法に基づき、メルク社からEMDの治験データや副作用情報の報告を受けてきた。医薬食品局審査管理課はEMDにかかわる報告について「治験段階では企業秘密の面もあり、副作用など安全にかかわる情報であっても企業が公表していない内容は答えられない」としている。



 治験ってのはその名のとおり臨床実験ではあるわけですけど、患者にとって不利益なものであってはなりません。それはもう人体実験ですからね。

 実際こういう訴訟が起こってしまうようなのはもう治験と呼べるのかどうかといったところでしょう。インフォームドコンセントをしっかり行うことの大切さを再度認識させられます。今回の場合は副作用などのことを伝えてはいたようですけれど、治験を優先するような説明が果たして適切なことかどうか、といったところが焦点にあてられるでしょう。

医学処:脳梗塞治療薬tPA、副作用の脳出血で48人が死亡していた
医学処:日本人は新薬の国際共同臨床試験の対象とされていない


広告
posted by さじ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。