県立こども病院(安曇野市)は、小児科医が不足している県内の病院に専門研修(後期研修)の研修医を派遣する事業を本格的に始める。各病院と協力しながら、小児科医不足の緩和につなげるとともに、高度医療を専門とするこども病院では研修しにくい軽症患者の診察などを学ぶ狙いだ。
後期研修は、医師免許取得後に義務付けられた2年間の臨床研修を終えた後、さらに専門性を高めるために任意で3年ほど各病院で学ぶ制度。同病院は集中治療など小児の高度専門医療が学べることなどから研修先として人気が高く、県内外から希望があるという。後期研修医は現在6人いるが、来年度はこれに加え、定員いっぱいの8人を新規に受け入れる。
同病院は昨年11月から、小児科の常勤医が1人しかいない県立須坂病院(須坂市)に、複数の後期研修医を週2回派遣している。さらに今月上旬以降、諏訪中央病院(茅野市)と県厚生連佐久総合病院(佐久市)にも複数を派遣する。県医師確保対策室から情報提供を受け、今後も派遣先を増やしていく予定だ。
研修医は、こども病院で研修を続けながら週1、2回ほど派遣先の病院へ通い、指導医のもとで外来患者の診察などに当たる。同病院は、研修医が地域医療の現状を知り、将来は県内の病院に勤務してくれることを期待。田中哲郎副院長は「県内の医療機関が手を取り合い、長野県で働く医師を育てていきたい」と話している。
厚生労働省の調査によると、県内病院の勤務医は2007年度、人口10万人当たり134・9人で、全国平均を9・0人下回り、都道府県では31番目。小児科医は産科、麻酔科などとともに不足が目立っている。
研修医といっても、後期研修という名称なだけで、立派な一人前の医者ですので、技術的には安心かと思います。後期研修という名称も、なんか国の策略のような気がしないでもないんですけど。
よく大病院で研修をする「デメリット」としてあげられるのが、軽症患者がいない、ということです。ほとんどが他病院で紹介された患者ばかりですので、外来で処方するだけで治るような疾患にはあまりお目にかかれず、医師として修行を積む過程で当たり前のように診なければならない病気をなかなか診れないということになったりします。
そこでこういった派遣制度です。大病院で大きな病気を診つつ、外の病院で軽症患者をみることで、専門の科でありながらも全般を診れるようになる。医師としてもお得、派遣先の病院としても人材を確保できるという、今流行りの「WIN&WIN」という関係です。
医学処:皇太子さまご夫妻が、県立こども病院を視察される。
医学処:小児科医の新人大幅減少。秋田と富山では0人。
医学処:産科不足の煽りを受けた小児高度専門医療