腰椎がずれて激しい痛みを伴う腰椎すべり症などの治療に使うチタン製人工骨を、京都大病院整形外科と中部大生命健康科学部の研究チームが開発し、臨床試験を始めたと5日、発表した。生体と親和性が高く、患者の負担を大幅に軽減できるという。
人工骨はチタンの粉末を溶かして作製。ミクロン単位の小さな穴がいくつもあいている。チタンはもともと生体との親和性が高く、人工関節の材料としても使われるが、特殊な表面処理を施すことで、さらに親和性を高めた。
京大では昨年11月、この人工骨を腰椎すべり症の患者に使う手術を実施。椎間板(軟骨)を取り除いて人工骨を埋め込んだところ、患者は術後2週間で退院し、経過も良好という。
椎間板の除去手術では、患者自身の腰の骨を切り取って、取り除いた椎間板の代わりに使うのが一般的だが、患者の負担が大きいことが課題となっていた。
京大では、人工骨を使った腰椎手術をさらに4例計画している。それぞれについて約1年間経過を観察し、結果がよければ、一般の治療に使えるよう国に申請したいとしている。
高齢者になってくるとどうしても腰や大腿部の骨の具合が悪くなってくるものです。かなりハードな手術をしなければならないときもありますが、優れた人工骨で代用してやれば、負担は軽減することができるようで。
命にかかわる病気ではないかもしれませんが、歩くときに負担がかからない、というのは高齢者にとって大事なことです。できるだけ生活の質を上げるためにも、整形外科領域の技術亢進には期待したいところ。
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