脳腫瘍の中でも非常に悪性の膠芽腫のモデルマウスを、脳細胞にがん関連遺伝子を導入する方法で開発したと、米ソーク研究所の丸本朋稔研究員(現国立病院機構神戸医療センター脳神経外科医師)らが6日までに米医学誌ネイチャー・メディシン電子版に発表した。
ヒトの膠芽腫切片を免疫不全マウスの脳に移植する従来のモデルマウスに比べ、病理がヒトの膠芽腫により近い状態を再現した。主に大人で発症する膠芽腫は、有効な化学療法や放射線療法ができず、手術で摘出しても再発するなどして、患者が1年程度で死亡することが多い。発症原因を解明し、新しい薬や治療法を開発するのに役立つと期待される。
星状細胞腫の中でも分化度が低く悪性の膠芽腫は、成人では大脳半球、小児では脳幹部が好発部位になります。腫瘍細胞は隣接した脳組織に浸潤するため、腫瘍の全摘出は難しいとされています。
進展が速いため悪性度が極めて高く、予後はよくありません。放射線療法などでQOLをあげることはできるようですが、その効果は短く、なかなか難しいのが現状です。
まずモデルとなるマウスを作り出し、それに対して新たな治療法の開発や、なぜ発症するのかといった機序を解明することができれば、次の道が開けることでしょう。
医学処:小児がん「神経芽腫」の原因遺伝子を東大が発見する。
医学処:小児脳腫瘍に自分の幹細胞を注入すると劇的に改善した