妊娠中のビタミンD欠乏症が初回帝王切開分娩の確率の上昇と関連するという研究結果が、『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』12月23日付けオンライン速報版で報告された。
「20世紀の初めごろ、女性が『くる病骨盤』のために出産時に死亡することは一般的であった」と、ボストン大学医学部(マサチューセッツ州)のAnne Merewood, MPH, IBCLCらは述べている。「くる病はホルモン『ビタミン』Dの発見によって実質的に姿を消したが、最近の報告では、ビタミンD欠乏症が先進工業国で広く認められることが示唆されている。筋力低下はビタミンD欠乏症の症状として確立されており、現在の米国における帝王切開による出生率は30.2%と高まるばかりである」。
本研究の目的は、母親の血清中25水酸化ビタミンD[25(OH)D]レベルと初回帝王切開分娩の発生率との関連を明らかにすることであった。
ボストンにある年間出生数が2500例という都市の大学付属病院において、治験責任医師らは、253組の母親と乳児のペアにおける出生時の母親および乳児の血清中25(OH)Dを測定したが、このうち43組(17%)が初回帝王切開分娩であった。母親の医療記録から人口統計学的データと医学的データを抽出した。
帝王切開分娩率は、25(OH)Dレベルが37.5nmol/L以上の女性では14%であり、血清中25(OH)Dレベルが37.5nmol/L未満の女性では28%であった(P=0.012)。人種、年齢、教育レベル、保険加入状況、およびアルコールの摂取について調整した多変量ロジスティック回帰分析によると、25(OH)Dレベルが37.5nmol/L未満の女性は25(OH)Dレベルが37.5nmol/L以上の女性と比較して、帝王切開分娩のリスクが4倍近く高かった。
本研究の限界には、ビタミンD欠乏症が児頭骨盤不均衡または分娩進行停止のような特定の種類の帝王切開分娩に関連するのかどうかを明らかにするには症例数が少なすぎることが含まれる。
「ビタミンD欠乏症は初回帝王切開の確率の上昇と関連があった」と研究著者らは述べている。「血中濃度が37.5nmol/Lを超えるようにするための、妊娠中の適切なビタミンD補充によって、帝王切開率を下げることが可能かどうかを明らかにするため、ランダム化臨床試験が今すぐ必要である」。
いわゆるくる病のようなものとは違って、母体側の問題なんでしょうかね。母体側の骨盤の大きさの問題か、開大の問題か。
まぁ帝王切開もかなり安全な技術になってきていますけれど、やはり正常分娩が一番なんですかね。生き物としてはそりゃ正常分娩のほうがいいのかもしれませんが(子供を産むときにいろいろなホルモンが母体に分泌されることでどうのこうの、という説もありますので)
医学処:ビタミンDの摂取で、多発性硬化症を予防できるかもしれない
医学処:母乳栄養の赤ちゃんはビタミンD不足にご注意。
医学処:ビタミンD値が低い人は心臓発作を起こす確率が高くなる
ジョギング続けてみます。
さじさんは論理的思考力が凄いですね。医学情報の扱い方が絶妙です。
では良いお年を!
みんなに分かりやすく医学情報を提供できたらな、と思って運営しております。
来年もどうぞ宜しくお願いします。
良いお年を!