2008年12月25日

セロトニンが視覚に与える役割を解明する

セロトニンの視覚に果たす役割を解明

 セロトニンは、神経細胞間で情報伝達を行う化学物質である神経伝達物質の1つです。脳内のセロトニン濃度の低下と鬱病等との関係が示唆されていますが、セロトニンの脳における機能はよくわかっていません。

 基礎生物学研究所 脳生物学研究部門の山森哲雄教授らの研究グループは大阪大学の佐藤宏道教授のグループと共同で、セロトニンが脳内における視覚の情報処理において、雑音(ノイズ)を減少させる役割と、視覚刺激のコントラストを適当な強さに調節する役割を持つことを明らかにしました。

 今回の研究は、セロトニンの高次脳機能における役割の一端を初めて明確に示したものであり、今後、その脳における役割の全容解明に貢献するものと期待されます。この研究成果は脳科学専門誌Cerebral Cortex オンライン版に12月5日に掲載されました。

 研究グループは、霊長類大脳皮質の代表的4領野について、各領野間での遺伝子発現を比較検討しました。その結果、神経間の情報伝達を担うセロトニンを受け取りその情報を他の神経細胞に伝えるセロトニン1B受容体とセロトニン2A受容体の遺伝子発現が一次視覚野の神経細胞において非常に強く発現していることを発見しました。

 そこで研究グループは、セロトニン受容体の視覚機能に果たす役割の解析を行いました。様々なコントラストの縞模様状視覚刺激をニホンザルに見せて、一次視覚野の神経細胞の応答を調べる実験を行いました。この時にセロトニン受容体を活性化する薬剤を投与することで、視覚応答に対するセロトニン受容体の効果が分かります。

 その結果、セロトニン1B受容体には、視覚刺激とは関係のない神経細胞の応答(ノイズ)を減らし、視覚刺激に応答する神経細胞の応答を強める働きがあることが明らかになりました。またセロトニン2A受容体には、コントラストが弱い視覚情報に対して、コントラストをより強く調節し、コントラストが強い時には、逆に抑える役割があることが判りました。

 以上の結果より、神経伝達物質セロトニンには、脳内における視覚の画像情報処理において、ノイズを減少させる役割と、コントラストを適正なレベルに調節する役割を持つことが明らかになりました。この2つの機能が相まって、鮮明な視覚像が脳内で再生されることが可能になると考えられます。



 細かい脳の分泌ホルモンは、いまだに作用などが解明されておりません。ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどは、こういう作用があるんじゃないかなぁという結果論的な発見はされてきており、精神科領域で活躍してはいますが、まだどんなメカニズムなのか明確になったわけではないのです。

医学処:セロトニンを分解する遺伝子が欠損すると心配性で疲れやすくなる
医学処:乳幼児突然死症候群は脳内のセロトニンと関係ある?
posted by さじ at 03:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科
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