2008年12月18日

脳の働きを増強する薬は何故合法化されないのか?

「脳を増強する薬」合法化を主張する『Nature』論説

 脳の働きを安全に高めてくれる薬があるのなら、なぜ使わないのだろうか? 自分が使いたくないからといって、なぜ他人の使用まで止めるのだろうか?

 成績や仕事の評価を上げたいため、本来なら注意欠陥障害の患者に処方される薬を、その目的とは違った意図で日常的に、違法に服用している人々が存在する中では、こうした倫理的な問いかけが時宜を得たものになる。

 『Nature』誌から、1つの答えが提示された。倫理学や神経科学の分野で著名な7人によって、12月11日号に掲載された論説「認識能力増強薬の、健康な人による責任ある使用に向けて」だ。

 結論を言えば、合法化すべしということだ

「責任能力がある成人は、薬による認識能力の増強を認められるべきだ」と彼らは書いている。

 大学生の約7%、科学者の最大20%がすでに、精神機能を高める目的で『リタリン』[製品名。成分名はメチルフェニデート]、『アデラール』[同上。アンフェタミン]といった薬を使用している。これらの薬は本来、注意欠陥障害を治療するためのものだ。

 化学物質によって認識力を増強することは一種の不正だという指摘がある。自然に反すると言う人もいる。Nature誌の論説は、これらの批判に次のように反論している。まず、脳の働きを高める薬が不正とみなされるのは、規則で禁止されているからであり、そもそも禁止する必要はないという。こうした薬が自然に反するという指摘については、そうであるなら医学や教育、住居も自然のものとは言えないと主張する。

 この主張はさまざまな意味で説得力がある。自然に反するという理由で、殺菌された牛乳や歯科麻酔、セントラル・ヒーティングを否定する人はいない。また、脳が変化した場合、その原因が薬、教育、健康的な食事のどれにあるとしても、神経生物学のレベルではどの変化も同じであり、これらを道徳的に区別するのは恣意的といえる。

 しかし、一部の人が認識力を増強する薬を使用した場合、他のすべての人が、自分の意思にかかわらず追随せざるを得なくなる可能性はないのだろうか?

 多くの人の能力が上がれば、能力が上がった状態が普通になる。その結果、脳の働きを高める薬を使用することが、仕事を得るための基本的な要件になるかもしれない。

 学問の世界で「景気づけの1杯」のようにごく普通に使われているリタリンやアデラールは、脳の働きを高める薬の第1世代にすぎない

 次に登場したのが『プロビジル』[商品名。成分名はモダニフィル]という「覚醒を促進する薬」で、一睡もせずに何日も起き続けていられたり、記憶力が向上したりする効果がある。今後、もっと強力な薬が生み出されるだろう。

 Nature誌の論文にも書かれているように、「認識力の増強は、人体の最も複雑で重要な臓器に作用するものだ。そのため、予期せぬ副作用のリスクは高く、重大だ」。しかし、たとえ安全性が確認されたとしても、労働者がマラソンのように高い能力を発揮しながら起き続けることを期待されるようになったらどうだろう?

 筆者の知り合いのほとんどはすでに週50時間働いており、友人や家族、生活のための時間を作るのに苦労している。仕事を失わないためにロボットのような人間になることは、誰も望んでいない。そこで、精神生物学を専門とするカリフォルニア大学サンタバーバラ校のMichael Gazzaniga教授に疑問をぶつけてみた。同氏は論説の執筆者に名を連ねている。

 「まず、優位に立つために使い始める人が現れる。そして、使用する人が増えれば、使っていない人は、実質的に高くなった新しい基準についていかなければと感じるようになる

 Gazzaniga教授は、こうも指摘している。「誤用や乱用を恐れるがゆえに、年配者の記憶障害(もしくは若年者の認知障害)への効果を持つかもしれない薬に関する研究が阻害されてしまうかもしれない」

 そうなったとしたらそれは、21世紀における「麻薬との戦い」から生じる副次的損害といえる。そして「麻薬との戦い」は、費用がかかり効果は薄い。脳の増強の問題は、そういった文脈のなかで考える必要もあるだろう。

 リタリンとアデラールは『スケジュール2』の薬物に指定されており、米国の法律ではアヘンやコカインと同等の扱いだ。

 「認識力を安全に増強する方法を求めている人たちが重罪に問われることがないよう、こういった法律を修正すべきだ」と論文には書かれている。法律の文言どおりなら、大学生の7%と科学者の20%は刑務所に入ることになる。筆者も同様だ。

 リタリンは服用した日には効果があっても、その翌日の疲労が激しく仕事はできない、常用すると不安などの副作用が現れる、などの報告がある。

 メチルフェニデート(リタリン)は難治性・遷延性鬱病や慢性疲労症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)などに使われる中枢神経刺激薬。約85%が米国で消費されているが、日本では2007年ころから「リタリン依存」が社会問題化。薬事法の改正で、通常の向精神薬よりも一段と厳しい管理が要求されるようになった。処方に従わずに規定量を逸脱した量を服用した場合、副作用や後遺症、薬物耐性による服用量の増大、依存などを引き起こす可能性が高い。

 アンフェタミンは、合成覚醒剤の一種。ナルコレプシーやADHDなどの治療に用いられ、能率向上や娯楽目的での濫用は、ほとんどの国で違法とされる。密造と濫用がヨーロッパ諸国で横行。さらに米国などでは、処方されたアンフェタミンが横流しされ、高校や大学で最も頻繁に濫用される薬剤の1つとなっている。習慣性を生じやすく、依存症となった患者には、不穏状態、不安、うつ、不眠、自殺衝動といった症状があらわれる



 うーん。でも結局ドーピングのようなものですしね。スポーツの世界において、何故ドーピングが禁止なのか、スポーツする上で人間の体を増強させて何が悪いのか、と言ってるようなものです。

 確かに眠らなくなる、集中力が上がるといった「スマートドラッグ」の類は魅力的です。どんな人間でも仕事の能率や記憶力を上げたいと思うものでしょう。そういう情報処理をメインに行わなければいけない社会で生きているわけですから。

 でもこういった薬を合法化したら、生活スタイルが根底からおかしくなると思うんですよね。副作用だってあるわけですし、誰もが飲むことを強制しているようなもんじゃないですか。それは社会の退化に近いようなものだと思います。


29 名前: タチウオ(コネチカット州) 投稿日:2008/12/16(火) 23:45:52.18 ID:5pJYCLUm
科学的根拠はしらんが
高校三年途中からリタリン飲み出した俺の場合は
現役時偏差値50だったのが浪人した頃に70に上がってて京大受かったよ
1日12時間とか信じられないくらい集中して勉強できてた

でも合格が実力じゃなくて薬のおかげだったとしたらへこむな

ちなみに睡眠障害で処方されてて27歳の今でも飲んでる

44 名前: さくらんぼ(兵庫県) 投稿日:2008/12/16(火) 23:49:55.29 ID:BUjBVzal
>>42
なんか後で反動がありそうだな・・・

87 名前: タチウオ(コネチカット州) 投稿日:2008/12/16(火) 23:57:02.36 ID:5pJYCLUm
>>44
実際いま健忘症がすごくやばい

42 名前: レタス(コネチカット州) 投稿日:2008/12/16(火) 23:48:40.54 ID:5pJYCLUm
確かにリタリン飲むと眠気は飛ぶな
自分の集中力を試してみたら英単語を1日で500くらい暗記できた

ただきっと脳によくないし
何より切らすと不安になるから薦めないよ

関連
医学処:韓国の小・中・高校生の間で「集中力を高める薬」が大流行
医学処:学者の5人に1人が、リタリンなどを服用していた。


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posted by さじ at 02:05 | Comment(3) | TrackBack(0) | 薬理
この記事へのコメント
凄い薬があるんですね!初耳です。


この薬を服用して勉強した場合、例えば東大に合格したとして、服用を止めたらどうなってしまうのか気になりますね!
知識は残りそうですが…



筋肉増強剤の場合一気に筋肉が落ちてしまいますが。


Posted by らあめん at 2008年12月18日 13:59
らあめんさんこんばんはー。

多分ですけど、情報処理能力の問題だと思うので、知識は残ってもそれを生かしたり、新しいことを吸収できなくなったりするんじゃないでしょうか。逆に副作用でぼーっとしたりするかもしれません
Posted by さじ at 2008年12月19日 00:21
副作用が怖そうです
Posted by   at 2008年12月24日 11:00
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