穴が開いた細胞膜を修復するときに働くタンパク質を、京都大薬学研究科の竹島浩教授ら日米の研究グループが突き止めた。タンパク質の異常が筋ジストロフィーの原因の一つである可能性があるという。英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」で1日に発表する。
竹島教授らが見つけた細胞膜近傍のタンパク質MG53の機能を調べた。MG53は、心臓や筋肉の絶えず動いて傷つきやすい細胞で作られている。
MG53を作れないマウスは、成長とともに細胞が壊れ筋細胞が貧弱になり、筋ジストロフィーと同じ症状を示した。MG53が作れない細胞は細胞膜に穴を開けても穴はふさがれないが、外からMG53を入れると修復できるようになった。
MG53は、細胞膜と同じ成分のリン脂質でできた小胞と結びついており、細胞膜に開いた穴に集まり、リン脂質が穴をふさぐように働いていた。
筋ジストロフィーはさまざまな遺伝子の異常によって引き起こされるが、症例の半数近くは原因遺伝子が分かっていない。MG53の異常も原因である可能性があり、日米で確認を進める。
竹島教授は「MG53が働くようにする筋ジストロフィー治療も期待できる。潰瘍や炎症も細胞の損傷が関係しており、MG53やMG53に似た他のタンパク質の役割を調べたい」と話している。
あの代表的難病である筋ジスに治療法が出来るかもしれない、と。この研究が大成したら遺伝疾患で苦しむ人の希望となるのでは。
たんぱく質、遺伝子、この2つが解明されるようになってきて、疾患に関してのより深いレベルでの認識が進んだ2008年でした。来年はどれだけ進歩するのか、期待ですね、と12月っぽい忙しさに追われながら考える。
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