大阪医科大学付属病院(高槻市)は、15年前から大腸がんの腹腔鏡手術に取り組み、件数は1500件を超えた。日本内視鏡外科学会の技術認定医で、同大学一般・消化器外科准教授、奥田準二医師(50)に大腸がんの治療法や課題を聞いた。
――状況は。
食生活の欧米化などに伴い、近年、増えています。罹患数は年間約10万人で、胃がんに次いで多く、死亡率は女性では最も高い。死亡者数は年間4万〜5万人。2015年には、がんの中で罹患数が最多になると予想されています。
――治療法について。
大阪医大病院では手術の8割以上が腹腔鏡で、開腹手術に比べて傷が小さく、痛みや入院日数も半分程度で済みます。直腸がんでは、肛門、排尿や性機能をつかさどる自律神経の温存を基本としています。直腸は狭い骨盤内にあるため、手術では医師の技量が問われます。
――大阪医大病院について。
合格率が40%と難関の内視鏡外科技術認定医(大腸)を7人輩出し、全国トップクラスです。また、放射線科と共同で、がんや腫瘍とつながる血管などを立体的に表示する「統合的3D―CT画像」を世界に先駆けて考案し、導入しました。「おなかの地図」と呼んでいますが、より安全で的確な手術を追求した成果と言えます。患者数が増えた今も、一つひとつの症例に検証と反省を繰り返す姿勢は変わりません。
――強みは。
診療科を超えたチームワークを背景に、数多くの症例を重ねてきた実績と技術力です。週に8〜10件、大腸の手術ができるのは、プロ意識にあふれた麻酔科医の支えが大きい。腫瘍が他の臓器に及ぶこともあるため、泌尿器科、婦人科も心強いパートナーです。抗がん剤治療を行う化学療法科との連携も抜群です。
――直腸のがんは手術が難しいと聞きます。
肛門の括約筋を全切除すれば永久人工肛門になるので、患者さんは「残したい」と望みます。以前は、がんが肛門から5センチ以上離れていれば温存の対象でしたが、大阪医大病院では2〜3センチが目安。括約筋の一部を残す「超低位直腸切除術」も積極的に行っています。
――心がけていることは。
高い治療水準や安心感を求めてくる患者さんに応えることです。安全で負担の少ない治療を施すことはもちろん、初診にじっくり時間をかけ、患者さんと向き合います。「ここで手術してよかった」と元気に退院していく姿が何よりの励みです。退院後、かかりつけ医にスムーズに橋渡しすることも大切です。
――メッセージを。
検診で便鮮血が陽性であれば、必ず内視鏡で精密検査を受けましょう。機器も進歩し、痛みも少なく短時間で済みます。患者さんには、「医師にお任せ」ではなく「自分の体は自分で守る」よう心がけ、健康管理を徹底してほしい。
食の欧米化で、大腸が癌化しやすくなっております。
血便といいますか、便に血が直接混じっていなくても、黒色便などの異常を呈する場合もあるので、便に異常を感じたらすぐ病院へ。早期発見、早期治療が原則です。
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