脳出血を起こした東京都内の妊婦が大学病院を含む複数の病院に受け入れを断られ、出産後に死亡した問題などを受け、文部科学省は5日、国立大学病院の周産期医療体制を充実させる「整備計画」を発表した。09年度から4年間ですべての国立大学病院に新生児集中治療室(NICU)をつくり、半数の病院でNICUなどの病床を20床に増やす計画だ。
現在、NICUがない国立大学病院は、弘前、山形、千葉、東京医科歯科、福井、山梨、岐阜、佐賀、長崎の9施設。計画では、1病院、最低6床のNICUを設置する。
高齢出産などの増加でリスクの高いお産が増える中、高度な治療ができるNICUの重要性は高まっている。また国立大学病院の整備を重視する背景には、周産期医療を行っている大学病院を対象に実施した調査(11月1日時点)で、国立大の整備の「遅れ」が目立ったことがある。
NICUがある大学病院(本院)は、公立は8病院中8施設、私立は29病院中27施設だったが、国立は42病院中33施設。平均病床数(施設がある病院の平均)も、公立8.3床、私立11.3床に対し、国立は7.4床だった。
NICUに、リスクの高い妊婦に対応する母体・胎児集中治療管理室(MFICU)、NICUを出た子どもが入る継続保育室(GCU)を加えた平均病床数は、国立大学病院の場合、11.4床(施設がない病院も含む)。文科省はこうした施設についても、半数の21の国立大学病院で最低20床の確保を目指す。文科省は今回の整備で、国立大学病院のNICUとMFICU、GCUを240床程度増やしたい考えだ。
一方、周産期医療の充実には、人材確保も重要課題となる。そのため、公私立も含めた全大学病院で、周産期医療にたずさわろうとする医師への教育環境の整備、産科や小児科への女性医師の復帰促進、院内助産所を活用した産科医の負担軽減などの取り組みを支援する。
文科省は09年度予算の概算要求で、産科医や小児科医育成を促す費用として89億円を計上し、うち58億円をこうした計画の推進に充てる考え。
文科省の調査によると、リスクの高いお産を扱う総合周産期母子医療センターは全国で75施設が指定され、大学病院が28施設を占める。大学病院が扱う分娩数は、分院も含めると07年度は5万47件で、05年度に比べて20%増。うちリスクの高い分娩は2万791件で24%増えている。
うーむ、最初からこれぐらいお金をかけてくれれば、今のような惨状にならずにすんだかも。結果論ですが、分かりきっていたことですからねぇ。
私立大学のほうが、こういうことに対してはイニシアチブが早いですけれど、国立でもそれを補おうとする構え。予算さえあれば出来るだけ頑張りますよ。
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