最長1メートルに及ぶ神経細胞の末端まで、必要な物質を的確に選別して運ぶ仕組みを、東京大の広川信隆教授(分子生物学)らが解明した。細胞内の運び屋「分子モーター」に、配送票のようなたんぱく質がくっついて「積み荷」をより分け、目的地に着くと、このたんぱく質が分解されて積み荷が降ろされるという。
広川教授らは、エネルギーを生み出すミトコンドリアなどが末端に届く仕組みを調べた。その結果、これに使われる分子モーターは「KIF1A」、「KIF1Bβ」の2種類で、いずれも「アダプター」となるたんぱく質「DENN/MADD」がくっつき、さらに小胞膜のたんぱく質「Rab3」と選択的に結合することで積み荷が選ばれることが分かった。細胞末端に着くとRab3が加水分解されて結合が外れる。
広川教授は「アルツハイマーなどでは細胞内の輸送が遅くなる。輸送機構の解明が神経機能の活性化や治療法開発につながるはず」と説明している。
たんぱく質関連の研究が加速していますねぇ。今はまだ「発見」の段階ですが、これが薬に応用されたり、臨床で使えるようになる可能性を秘めています。今まで治療不可能だった疾患や原因不明な病気が解明される日も近いかもしれません。
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