1度損傷すると自然には再生しないと考えられてきた関節の軟骨について、新開発の物質をウサギの関節損傷部に埋め込んで自然修復させることに成功したと27日、北海道大大学院医学研究科の安田和則教授らのグループが発表した。
今後はヒトへの応用可能性や安全性を検証し、スポーツなどによる軟骨の損傷に対する新しい治療法に結び付けたいとしている。
安田教授らは「ダブルネットワークゲル」と呼ばれる軟骨と似た新しい化学物質を開発。これを損傷させたウサギのひざ関節に埋め込むと、軟骨の再生が確認できたという。ゲルが何らかの刺激を与え再生を促すと考えられるが、仕組みの解明は今後の課題になる。
これまで軟骨損傷の治療で使われてきた人工軟骨は、摩耗すると手術で取り換える必要が生じる難点があった。また、取り出した細胞を培養して生体に戻す方法も研究されているが、成功率が低いなどクリアすべき課題はまだ多いという。
関節ってスポーツで痛めたりしますけれど、他にリウマチなどの疾患によるものだったり、あと何といっても加齢によって損傷してしまうケースが多いです。
高齢者の場合、「自分の力で歩けるかどうか」という概念が非常に大切になってきていまして。この軟骨修復物質の登場で、自分の力で日常作業が出来る程度に回復する人が増えるかもしれません。
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