刑務所で行う受刑者への職業訓練が多様化している。これまで主流だった肉体労働から、エステやコンピューター関連技術など、需要の高い職種の資格取得へ法務省が方針転換したからだ。民間会社が運営に加わるPFI方式の刑務所では定員オーバーになる人気職種も。安定した就職先による再犯防止と、受刑者の更生意欲の底上げを目指す取り組みが注目されそうだ。
「胸骨をしっかり押さえて。心肺蘇生は一分間に二百回がノルマです」
初犯の受刑者を収容する「播磨社会復帰促進センター」(加古川市)で、今月開講した「ホームヘルパー二級」の授業。講師の指導に熱がこもる。週四日、一日六時間。定員四十人に、受講希望者は六十人を超えた。三十代の男性受刑者は「ずっと介護の仕事に興味があった。年老いた両親を支えてあげたい」と真剣な表情だ。
同センターは昨年四月、業務の一部を民間が担うPFI方式の刑務所として全国で二番目にオープン。現在、国内に四カ所あり、医療事務やスポーツ指導員など従来なかった訓練種目を導入している。
多様化の背景は、受刑者の再犯率の高さ。法務省の犯罪白書によると、出所後五年以内に刑務所に戻る再入所率は近年50%台で推移。有職者の方が再犯率は低いため、雇用状況や求人情報を調査し、需要の高い人気職種を取り入れた。
二〇〇六年度は二十五種目だったが、本年度は三十種目。女性受刑者を収容する栃木刑務所(栃木県)では、エステティシャン養成科目を新設した。佐賀少年刑務所(佐賀市)と川越少年刑務所(埼玉県)でも、コンピューターで建築図面などを作製するCAD技術科を始めた。
ただ、受刑者の実習先確保の難しさなど課題は多い。服役経験があり、社会復帰につながる刑務所処遇の必要性を訴える元衆院議員の山本譲司さん(46)は「職業訓練の多様化は受刑者のモチベーションを高める。『塀の中』の成功体験を実社会に生かせるよう、関係省庁で就労支援を一体化したプログラムを構築することが必要だ」と話している。
これはいいですね。なんていうか、性善説っていうんですかね、人間ですから過ちをおかすことはあっても、安定した職、安定した生活があれば悪いことはしない人も多いんだってことを、信じたい気持ちです。
最初は社会のアタリは厳しいかもしれません。でも罪をおかしてしまったのですから、それは受け入れて、仕事で信頼を勝ち取るという社会として当たり前のことを、成功させてほしいと思いますね。介護職、いいじゃないですか。頑張って下さい。
刑務所の職業訓練
受刑者に対し、社会復帰後の就労支援として、必要な知識や技能を習得させる。生活態度がよく、将来働く意欲の強い受刑者が対象で、電気工事や情報処理、ホームヘルパー、溶接など、刑務作業の代わりに職業訓練として行う。期間は3カ月-2年。2008年度は全国42施設で30種目が実施されている。
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