2008年11月29日

嗅覚の受容体を大量に作り出すことに成功する。

「人工鼻」の実現に手がかり

 嗅覚受容体を実験室で大量に作り出すことが可能となり、「人工鼻(artificial noses)」の実現にも可能性が出てきたという。

 米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に10月7日掲載の論文によると、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループは、市販の小麦胚芽抽出物をもとに、無細胞合成によって特殊な受容体を作成。その後、いくつかの精製段階を経て、においを検知する蛋白を単離することに成功した。この技術によって、嗅覚受容体を短時間で大量に産生できるようになり、嗅覚がどう働き、なぜ多くの異なるにおいを感知できるのかという嗅覚の謎の解明につながる可能性がある。

 「嗅覚の研究で大きな障壁となっていたのは、十分な量の受容体を作れず、またそれを均質に精製できなかったことである。今回ようやく受容体が原料としていつでも利用できるようになったことで、嗅覚に関する多くの新しい研究が可能になるだろう」と、この研究に基づいてMITの博士論文審査を受けたばかりのBrian Cook氏は述べている。研究チームによると、人工鼻を作ることによって、最終的には麻薬・爆発物探知犬に代わるものができるほか、医学的にも利用できる可能性があるという。

 ヒトは400個に近い機能遺伝子を含めた広大な嗅覚系をもっており、多様な受容体によって何万種類ものにおいを嗅ぎ分けることができる。論文の著者であるLiselotte Kaiser氏によると、嗅覚研究の鍵となる蛋白を単離することは困難とされていたが、数年かかってMITのチームは、疎水性洗剤溶液の利用により蛋白の構造および機能を維持したまま単離、精製することに成功した。今後は、多数のにおいを特定できる携帯型のマイクロ流体装置の開発に取り組む予定だという。



 おおお。凄い。

 医療的な応用といっても嗅覚を失った場合に復活させるぐらいしか思いつきませんが、それ以外の分野でかなり活用できそうです。

関連
医学処:鼻の嗅粘膜を脊髄損傷部位に移植することで回復させる
医学処:他人の頭皮細胞を特殊な技術で患者に移植する毛髪再生法
医学処:顔面移植後、社会復帰が可能なレベルにまできている。
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posted by さじ at 19:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 耳鼻
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