23日午後10時45分ごろ、埼玉県越谷市南越谷5丁目の公園で、男性が倒れているのを近くの住民が発見、110番した。男性は既に死亡しており、遺体のわきに猟銃と遺書があった。「警察に迷惑を掛け申し訳ない。人工透析で疲れました」と書いてあった。越谷署は男性が頭を撃ち自殺したとみている。
調べでは、越谷市内で1人暮らししている無職の57歳男性で、東京都公安委員会から猟銃所有の許可は得ていたという。
うああ。
人工透析というのは、血液透析のことでしょうかね。週3回、4時間ほどかけて血液を機械にかけて、綺麗にする技術です。本来なら腎臓がやってくれます。ですので腎臓というのは、かなり大事な臓器なんです。
透析をやっていない、腎臓が健常な方、あなたがもし明日から透析をしないと死ぬとしたら、血液透析をやらざるをえません。週3回、1回4時間。仕方ないにしても、、、透析で疲れてしまう気持ちも分かるかと思います。
ですので本来なら腎臓移植をしたいところなんですが、日本では残念ながら伸びません。どうも日本人は移植に抵抗を示すようです。脳死移植(脳死になったときに腎臓を提供すること)、献腎移植(死んだときに腎臓を提供すること)、色々ありますが、どれも数は伸びていません、残念ながら。
最近では生体腎移植のほうがスムーズですね。術後成績もいいですし。でも出来ることならば、脳死移植や献腎移植のほうの数が増えてくれることを望みます。
また、透析にはもう1つ、「腹膜透析」というものがあります。この技術は欧米ではかなり広がっていますし、韓国でも広くやられていますが、日本ではまだまだといったところです。腹膜透析のいい点は、血液透析のように週3回病院に通って4時間拘束されなくてもいいというところです。具体的には、おなかのなかに透析液を入れて、老廃物を液に出して、その液を交換すればいい。朝液を入れて会社へ行き、昼交換し、夜交換するということもできれば、夜の間じゅう液の交換を自動的に行うだけの方法もあります。画期的な治療法ですが、腹膜透析の知識をもった医師がなかなかいないのが残念なところ。
腹膜透析にも当然弱点はあります。これは、何十年も行える治療ではないということが挙げられます。腹膜を介して老廃物の除去を行うため、長期に渡って行うと、被嚢性腹膜硬化症などの合併症が出現する可能性もあります。こういった合併症が起こる前に血液透析へ移行するのも、大事なことです。
移植を行うか、血液透析を行うか、それとも腹膜透析を行うか。これらは患者さんの状態や今後やりたいこと、生活の質などと絡めて決定されるものです。そのことを把握した上で、十分に情報提供をし、選んでもらいたいと思います。
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