インスリンをつくる膵臓のβ細胞を増やすことに、東北大の片桐秀樹教授(代謝学)、岡芳知教授(同)らがマウスの実験で成功した。肝臓を刺激すると、神経を通してこの刺激が膵臓に伝わり、β細胞が増えた。糖尿病の新たな治療法につながる成果だ。21日付の米科学誌サイエンスに発表した。
片桐教授らは、遺伝子導入でマウスの肝臓に特定のたんぱく質をつくらせると、肝臓が「肥満状態」だと感知。これが刺激となり、膵臓でβ細胞が増えることを見つけた。
刺激がどのように伝えられるのかを調べるため、肝臓と脳をつなぐ神経の働きを妨げたり、脳と膵臓をつなぐ神経を切ったりしたところ、β細胞は増えず、肝臓から膵臓に神経を通して刺激が伝わり、β細胞を増やす仕組みがあることがわかった。
インスリンの分泌を悪くした「糖尿病マウス」の肝臓を遺伝子導入で刺激したら、インスリン分泌が増え、治療に効果があることも確かめた。
糖尿病は、インスリンの分泌が減ったり、インスリンの効きが悪くなったりして、血糖値が下がりにくくなる。また、一般に肥満になるとインスリンの効きが悪くなる。
片桐教授は「肝臓が肥満状態を感知し、神経を通してβ細胞を増やす仕組みが体に備わっていることがわかった。この仕組みを利用して治療につなげたい」と話す。
身体は、各臓器同士で連絡しているのかもしれませんね。確かに血糖をコントロールしている膵臓と、糖を出したり保存したりしている肝臓には密接な関わりが・・・。
肝臓に肥満状態だと誤解させてやることで、膵臓がヤバイヤバイとβ細胞をつくる仕組み。作りすぎるとまた低血糖になってしまうので、そこらへんのさじ加減をうまくすれば臨床応用もはやそうですね。
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